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2006年12月7日

予防という落とし穴 小児ぜんそく薬で急性脳症

予防という落とし穴 小児ぜんそく薬で急性脳症

長谷川裕希くん(5)は急性脳症を患っていて喋ることができない。そして左半身のマヒ。こうした障害は、テオフィリンの副作用だった。テオフィリンは子供用のぜんそく治療薬として、一般に広く使われている。裕希くんもこの薬を服用していた。風邪をひき、一度だけ胸の音が聞こえたため医師が予防のためにと処方したのだ。


2年前の12月10日、裕希くんは幼稚園で突然、ひきつけを起こした。テオフィリンは、けいれんを引き起こしたり、けいれんを止まらなくする副作用が指摘されている。裕希くんは強力な麻酔薬でけいれんを止めたが、2時間半もの間続いたけいれんは、脳にダメージを残した。


テオフィリンの危険性は10年以上も前から指摘されていた。


東北大病院の横山浩之医師が行った小動物にテオフィリンを投与する実験では治療の効果がみられる量を投与すると、年齢の低い動物は、けいれん死してしまった。「私が示したデータは動物実験のデータ。ただし人間でも危険性があると言える」という横山医師の実験結果は1997年に発表されていた。


日本小児アレルギー学会は去年、テオフィリンの処方基準を新しくしたが、幼児への処方を禁止したわけではなかった。同学会ガイドライン委員長の西間氏は「ぜんそくの専門医以外が使うと危険である可能性があるが、現実的には専門医は使いこなして副作用も出ていないから専門医はきちんと使えるようにしたい」と説明した上で、ぜんそくではない子供に対して予防のために処方されていることが問題だという。「今まで何もなかったからいいんだと使い続ける先生もいる」。
裕希くんも予防のために処方された一人だった。


テオフィリンを処方しないのは世界的な流れだと小児科医の榎本武医師は指摘する。アメリカではこの20年余りで外来の患者に処方される量が63%(1978年)から2%(2002年)まで激減している。「テオフィリン製剤を処方することは同時に訴訟を覚悟しなければならない、と。私の後輩がアメリカ、カナダへ行った経験談です」と榎本氏。


実際、副作用を抱えた被害者が何人いるか分かっていないが、「数は多くない」「まれ」という言葉で対策が遅れている感は否めない。

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