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2008年2月29日

八甲田転落事故〜観光バス業界の過酷な実態

八甲田転落事故〜観光バス業界の過酷な実態

今年1月4日、八甲田山で33人を乗せた観光バスの横転事故が起きた。この事故により、バスの下敷きになった38歳の女性が死亡、22人が重軽傷を負った。バスの運転手で逮捕・起訴された中村富明被告(58)は、冬の八甲田を走るのは初めてだったという。その背景には、貸切バス業界の危険な実態があった。

いまや旅行業界の主力商品ともなっている「観光バスツアー」。今回、事故を起こしたバスもそんなツアーのひとつだった。
1月3日の午前7時、バスは東京・八王子駅前から青森に向けて出発。東京から約650キロ、11時間かけて十和田湖へ―――。しかし、このとき乗客は"最初の違和感"を感じていた。このツアーに参加していた夫婦は「去年旅行したときは、これより短い距離だったが(運転手の)交代要員がいた。今回は一人かな?と思った」という。

明けて事故当日の朝、乗客は"2つ目の違和感"を抱く。それは、八甲田の温泉を目指して山の中へ入ったときだった。山中で迷ったのか、運転手は近くにいた自衛隊員に道を尋ね、ようやく温泉にたどり着いたという。

かなりの雪が降っていて、乗客が温泉に入っている間、時間は十分にあったのも関わらず、運転手はチェーンを巻かずにそのまま出発する。そして事故の10分前、対向車とすれ違うためにバスが坂道で一旦停止したとき、再び異変は起きた。ある乗客は「スリップして坂道を上がらなかった。チェーンを巻いていないから大丈夫かなと(周りの客が)互いに話しているのを聞いた」と証言する。乗客が感じた"3つめの違和感"だった。それでも運転手はチェーンを巻くことはなかった。
当時、路面は圧雪状態で、雪道用のタイヤを装着していたものの、バスは坂道の途中のカーブで制御不能となり、がけ下へと転落、横転したのだ―――。

地元のバス会社の運転手は、「夏場でもあのカーブはきつい。冬場ならチェーンを巻いていても時速12〜13キロでいかないとスリップする」と話す。起訴状によると、中村被告は急カーブを時速35〜40キロで走行。「それほどの急カーブとは思わず、減速していなかった。ブレーキを踏んだが間に合わなかった」と供述しているという。
中村被告は運転手歴10年だが、冬の八甲田山を運転するのは初めてだった。

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