

2008年3月4日
福田総理の肝いりで設置された「社会保障国民会議」で、年金の財源問題についての議論がスタートした。焦点となるのは基礎年金部分の"税方式化"だ。保険料を廃止して、すべて消費税でまかなうかどうか―――。税方式論の背景にあるのは、未納問題だ。自営業者などの国民年金の未納率は34%だが、消費税ならそれも解決して将来全員が年金を受け取ることになる。
自民党の麻生前幹事長も先月、突然「税方式」を主張した。ただし、消費税は10%にするという。さらに自民党の有志も税方式案を作成し、当面12%まで消費税を引き上げるとした。
税方式になれば、救われる人もいる。独身でフリーターの磯崎照光さん(34)は、生活が苦しく、国民年金の保険料を払いたくても払えない。この6年間で払うことができた国民年金は4カ月分だけだ。収入は月18万円で、家賃は3万5000円。食事は1日2回にしているが、生活を切り詰めても年金に回すお金は捻出できない。国民健康保険料でさえ滞納している。「何とかがんばって、年金を少しでも払えるようにしたい。(払えたら)精神的にどれほど楽になるか…」と磯崎さんは語る。
税方式になれば、磯崎さんも年金が受け取れるが、消費税となると負担は逃れられない。そこに待っているのは、さらなる生活レベルの切り下げだ。
では消費税で負担する場合は、保険料を納めるよりも損なのか、得なのか・・・。
我々は、慶応義塾大学の駒村康平教授に年収別の"損得シミュレーション"を依頼した。65歳以上の高齢者全員に現行の6万6000円を給付するという想定、税方式なら消費税が12%程度になる。
駒村教授は、「皆が得するはずはない。現役と高齢者と企業の間で、どういう風に負担をするか。誰かが得をして、そのぶん誰かが損をする」という。
まず得をしそうなのが自営業者だ。夫婦の場合、年収約1千万円以上の世帯を除き、税方式のほうが負担は減る。毎月2人分の保険料を払うよりも、消費税アップのほうが少なくなる。
問題はサラリーマンだ。
サラリーマンの厚生年金保険料は、ほぼ給料の15%で、そのうち3分の1の5%相当分は基礎年金のためにあてられている。