

2008年10月23日
アルカイダによる自爆テロ――イスラム教の宗派対立――。
アメリカ軍の増派作戦が功を奏し、治安が回復したといわれるバグダッド。しかし、それはあくまでも「以前と比べて…」ということでしかない。現在のバグダッドをフリージャーナリストの西谷文和氏が取材した。
バグダッド市内の至るところにそびえ立つ2メートルを超える巨大なコンクリートの壁…。軍や政府関連の施設、企業が自動車爆弾の襲撃を防ぐために設置したものだ。バグダッドは、今や検問所とコンクリートに囲まれた"監獄都市"と化している。
しかし、それでもテロは起こる。今月11日、バグダッドの中心街で爆発が起き、27人が死亡。テロはこの前日も翌日も発生した。
上空には、アメリカ軍がテロ監視のためにあげているという飛行船の姿が―――。
市民は常に監視の目にさらされ、テロの脅威と隣り合わせの生活を送っている。
「娘は手術もできない」
「この子の近くで爆発が起きたの」
市内にある母子支援センターには、窮状を訴える人たちが集まっていた。
取材班はバグダッドを後にし、イラク北部の都市・モスルへ向かった。ここは今、バグダッドより危険な地帯といわれている。治安強化によって拠点を失った武装勢力がイラク全土から集結し、アルカイダ最後の砦になりつつあるというのだ。
モスル近郊の町には危険から逃れようと人々が集まり、病院は多くの患者で溢れかえっていた。決して広いとはいえない病室…1つのベッドを2組の親子が共有している姿もみられた。「とても眠れる状況じゃない」と人々は嘆く。
病院には、戦争によって傷を負った子供たちの姿が多くあった。
車いすで生活をしている11歳のイブラヒム君は、銃撃戦に巻き込まれて下半身が不随になった。体の中には、いまも銃弾が残ったままだ。
「この子は脳に水がたまっている。背中を開く手術もした」と語るのはサバーハ君(3)の母親だ。小さな背中には、脊髄を手術したという跡が痛々しく残っていた。下半身に感覚がなく、足は不自然に曲がっているサバーハ君。そして1歳11カ月になる弟も同じように障害を抱えていた。
脳や体の一部に先天的な異常を持つ子どもたち―――こうした障害の原因のひとつとみられているのが、劣化ウラン弾だ。