

2008年11月18日
国の出先機関と都道府県が同じような仕事を重複して行う"二重行政"が、問題になっている。
広島市を南北に流れる一級河川『太田川』市街地に入る手前で6つの支流に分かれた後、広島湾に注いでいる。その内4つの支流が国、2つは県が管理している。国が管理する支流では国土交通省の出先機関・中国地方整備局の職員が監視を行っている。しかし県側が管理する支流の前は素通り…
今年5月、地方分権改革推進委員会は、一つの都道府県内で完結している河川や道路は原則、都道府県に移譲するべきという勧告を出した。これを受け、国土交通省側が移譲可能と提示したのは、対象となる河川65水系中20水系に留まった。
太田川は広島県内で完結しているが、防災上の問題を理由に除外された。中国地方整備局側は「整備局の範囲は人口が多く資産が集中している。市民の安心・安全をしっかり確保しなければならないということで国がやる必要がある」と言う。しかし県庁の分権改革の担当者は「県で出来ないことは無いと思う」と言う。すでに県内の河川の約9割は県が管理し、年間68億円で整備している。一方、約1割を管理している国は年間97億円で整備している。太田川だけで60億円だ。
広島市内の多くは0メートル地帯のため、慢性的な高潮被害に苦しんでいる。
国が管理する天満川(太田川支流)沿いにある観音本町地区。これまでは土嚢を積んで高潮被害を凌いできた。10年ほど前から高潮堤防工事の計画はあったが、今年ようやく着手された。しかし工事が始まったのは堤防が必要な区間の半分のみ。今年、国が高潮対策に割いた予算は60億の整備費のうち4億円のみ。国は残りの整備費56億円を太田川のどこに費やしているのか。
太田川の上流部へ遡ってみた。3年前、台風被害があった山間部で、国独自の判断で行う直轄事業の護岸工事を行っていた。今年度の工事費は25億円。河川工学の専門家で今本博健・京都大学名誉教授は、「高潮がきたら下流のほうは数千件の家が浸かる。予算のバランスが少し取れていないではないか」と話す。しかし国側は、限られた予算の中で優先順位をつけ整備を進める方針の下、事業のバランスは取れている、と主張している。
国が費やした事業費のうち3割〜5割は、地元の都道府県が「負担金」として納めなければならない。