

2010年7月22日
社会保険庁の杜撰な管理で、誰のものかわからなくなった、いわゆる宙に浮いた『5000万件の年金記録』。持ち主が見つかり、解決できた記録は、7月22日時点で1475件。全体の3割に留まる。他は、既に死亡した人などの記録が1570万件。残りの2060万件が未解決のままとなっている。
東京都江東区にある「日本年金機構」の施設。ここは、年金記録問題の処理をする本拠地だ。これまでベールに包まれていた内部に、メディアとして初めてテレビカメラが入り、取材した。ここには、1億人以上に送られた「ねんきん特別便」に対する年金加入者からの回答がすべて集まってくる。「自分の記録がおかしい」という訴えがあれば、コンピューター上の記録と照らし合わせ、正しく直す。作業を行っているのは、日本年金機構の職員ではなく、委託業者の派遣社員、約1000人。完全分業制で、年金の知識は必要とされていない。この「ねんきん特別便」を使った記録の修正は、今月で大部分が終わるが、全面解決にはほど遠い状況だ。
残された記録を解決するため、政府は9月から、年金記録の原本である“紙台帳”のチェックを始める。昭和62年頃まで年金記録は紙台帳に手書きで書かれ、全国に保管された紙台帳の記録は8億5000万件。記録は、すべてコンピューター上に移されているが、その際、入力ミスがあった可能性があるため、紙台帳とコンピューター上の記録とを照らし合わせ、記録が食い違っていないか、再確認する作業に入る。
一方、年金記録に翻弄される高齢者は未だに多い。神奈川県に住む露木茂子さん(80)は、3年分の年金記録を探し続けている。露木さんは、「日伸商事」という会社で4年間働いたはずだが、最初の1年しか厚生年金記録がない。「経理事務をやっていた。従業員の給料計算から全部やっていたので、(年金)保険料を払わなかったことはない」というが、当時の書類は残っておらず、手がかりは乏しい。露木さんは「役所が記録を取ってあると思っていた。国が信用できなかったら、(年金は)払えないでしょう」と話す。現在の年金は、夫の遺族年金と合わせ月7万円。貯金を取り崩し、暮らしている。そして、年金記録をめぐる間違いは、今も起きているという。今年、露木さんの元に届いた日本年金機構からの年金加入記録。よく見ると、まったく知らない会社で働いていたことになっていた。