

2010年8月9日
今年の夏は、記録的な猛暑が続く日本列島。連日の猛暑によって、救急搬送される熱中症患者が急増している。総務省消防庁のまとめによると、8月1日現在、熱中症で救急搬送された人は、全国で2万1032人に上り、搬送直後だけでも98人が、懸命の治療に関わらず命を落とした。時には死に至る恐ろしい病気、熱中症。どのようにすれば防げるのか。熱中症の猛威に奮闘する医師たち、救急医療の現場に密着取材した。
さいたま市立病院の救急科は、2人の担当医師を中心に5人の看護師、3人の研修医と当直医と連携し、年間6500台の救急車、約2万人の患者を受け入れている。例年だと夏の患者数は比較的に少ないが、今年は明らかに違うという。朝から晩まで食事時間もままならない医師たち。救急科を専門とする角田修医師は、今年の夏は毎日のように熱中症患者を診療している。また15年、この医院に勤務する芳賀佳之医師は、「忙しい。大なり小なり熱中症が絡んでいる患者が多い」と話す。
8月4日、熱中症の疑いがあるさいたま市内に住む80代の女性が搬送された。この日の気温は34度。女性は、エアコンや扇風機をつけず、窓を閉め切った部屋に、うつぶせに倒れていたという。角田医師の呼びかけにもほとんど返事がない。女性は脱水症を起こし、高熱で意識が朦朧としている。体温は40度を超え、危険な状態だ。
熱中症は、上がった体温を下げることが第一。氷をつめたビニール袋を用意し、これをタオルに巻き、脇の下に入れる。そして、ぬらしたガーゼを体に浸し、扇風機で風を送る。扇風機でガーゼの水分を蒸発させ、高くなった体温を下げていく。目標は38度。搬送されて1時間、体温が2度下がり、38度台になった。ようやく女性の容体が回復し始めた。
高齢者だけでなく、若い人も搬送されてきた。足元をふらつかせ、救急隊員に寄り添われて歩く22歳の女子大学生。近くの携帯電話ショップで用事を済ませようと、母親の運転する車に乗った時、体調が急変したという。車に乗った2分後、「急に頭がクラクラして、全身が熱くなった。急いで冷やしたり、水を飲んだが、気分の悪いまま。めまいと頭痛、手と足がしびれた」と女性は話す。診断は軽度の熱中症だった。
角田医師は女性に「水やお茶を補給しても、塩分が足りず、どんどん減っていくと手がしびれてきたり、力が入らなくなる。