

2010年8月30日
環境分野などで続々と新興企業が誕生している台湾。台湾企業は日本の技術力を求め、圧倒的な資金力で日本の中小企業を救うパートナーへと変貌を遂げている。台湾新興企業急成長の謎に経済ジャーナリストの財部誠一氏が迫った。
『ジンテック』は設立からわずか5年で、ソーラーセルメーカーの世界トップ10入りを果たした。一辺15センチほどの“セル”と呼ばれる太陽電池の素子を作っている。製品の9割は輸出され、ドイツや日本のメーカーでソーラーパネルとなる。ひとつの工場として世界最大の生産量をあげている工場内に入ると、狭いところに工作機械が濃密に詰まっていた。世界最大たる所以は、「優秀なスタッフのおかげ」と工場長は話すが、それだけではなかった。その鍵を製造の最終過程で見つけた。同じラインで同じ行程を経たはずの製品がチェックを受け、クオリティーの差によって、分類されている。日本のように、過剰な品質を追求するあまり、コストアップしてしまうという思想ではなく、一定のばらつきを容認してコストを下げていく。ここにジンテックの強さの秘密があった。品質によって2割ほど値段に差が出るというが、グレードの低いセルであっても、中国のメーカーなどでは需要があるという。大手電力会社の理事長だった藩文炎氏が、友人2人と興したジンテック。元公営企業の経営者がベンチャーに挑むというのは、台湾ならではだ。藩氏は「3人がそれぞれ6億円集めた。企業の資本ではなく、すべて個人のもの。台湾では、良い計画には投資したいと考えている」と話す。設立から株式上場まで、わずか2年2カ月。売り上げは400億円以上に上る。
スピード経営を実現できた理由は、“資金調達力”にある。活発な台湾の株式市場は、全体の約7割を占める個人投資家によって支えられている。証券会社には、取引前から主婦や仕事をリタイアした高齢者など、多くの人が集まり、一日中、相場を見ている。現在、台湾の株式市場では、取引される額の6割以上がハイテク産業株だという。1億円以上を投資する50代の個人投資家は「(リーマンショックから)半分くらい回復している。株の配当金のほうが、銀行の利息よりはマシ」と話す。貯蓄よりも投資。お金の出し手がいたるところにいる環境が企業を育てている。
台湾の資金調達力と日本が誇る技術力、互いの良さを融合させ、発展した企業がある。