

2010年12月17日
故人の人生を振り返りながら、その死を悼むシリーズ「さよなら」。今回は、最愛の人のために尽くした方や尽くされて生ききった方々。
昭和の名優・小林桂樹さん
コメディーからシリアスな作品まで幅広い役を演じた小林さん。日課は、朝が苦手な奥さん・洋子さんのために朝食を買っておくことだった。お嬢様育ちの奔放な洋子さんと、素朴で実直な小林さん。出演した『徹子の部屋(1978年10月2日放送)』では、「生ゴミは、火・木・土。金曜は不燃性ごみで、これを出すことになっていて、このごろ『料理もやれ』と妻が言う」と笑顔で話していた。仕事の合間をぬっては、いつも洋子さんに大サービスしていた小林さん。長女の真実さんは、「母が山荘に行っていて、仕事で東京に残っている父は、母の荷物を全部持って帰ってくるという“元祖アッシー”だった」と笑う。素直に感謝を口にするのが苦手な洋子さんは、伝えたい思いはこっそり手紙に託していたという。真実さんは「母は、表現下手なところがある。父は、『あの人は不器用で上手に言えないんだよ』と言い、母のそういう欠点もいとおしかった」と話す。洋子さんが買い物ついでに買ってきたという腕時計は、小林さんの宝物だった。孫の直実さんにも自慢したという。「高価なものではなかったが、祖母が買ってきてくれたのが一番うれしかったみたい」と話す。その最愛の洋子さんが、2007年7月5日に亡くなった。真実さんは「見る影もないくらい落ち込んでしまい、慰めることが出来なかった」と話す。洋子さんが亡くなった後、表舞台に立つことはほとんどなかった小林さん。洋子さんに買ってもらった腕時計を、最期の時まで身につけていた。
9月16日、心不全により死去(享年86)
アニメ映画界の奇才・今敏さん
アニメーション映画監督の今敏さんの緻密な絵コンテから生まれる映像が世界を魅了した。2006年のベネチア国際映画祭に出品された『パプリカ』。上映後、観客からの拍手が、7分間鳴り止まなかった。今年5月、すい臓がんが見つかり、余命半年と宣告された。あえて、自宅での治療を選んだ今さん。妻の京子さんは「最後まで仕事がしたかったのだと思う。