

2011年6月14日
東日本大震災から3カ月。全国から寄せられた義援金は、日本赤十字社と中央共同募金会だけで約2700億円に上る。このうち、被災した15都道県に841億円が送られているが、肝心の被災者のもとには、その半分ほどしか届いていない。なぜ、義援金の支給が遅れているのか。その現状と理由を探った。
宮城県東松島市で、建物被害での義援金を申請しているのは、約1万世帯。市の調査員が一軒一軒を訪ね、その目で建物の被害状況を調べている。建物の被害の度合いは、“全壊”“大規模半壊”“半壊”“一部損壊”と4つに区分される。建物の損壊度合いによって義援金の額は異なる。被害の正確な判定を求め、一度判定された損壊の度合いに納得できない住民が、再び調査を求めるケースが約3割を占めるという。ただ、津波などによる全壊のケースでは、現地調査の必要はない。それにも関わらず14日現在、全壊のケースで義援金の支給率は約15%と、ほとんど支払われていない状況だ。その理由は、市民の公平性を保つためだという。東松島市役所では、連日、夜遅くまで“罹災証明書”の発行に関わる作業に追われている。罹災証明書とは、建物の被害の判定結果や家族構成を記したもの。義援金だけでなく、そのほかの支援制度や税金の減免措置まで様々な手続きに必要になる。そのため、証明書に記載される情報について、何重にもチェックを行う。しかし、それをさばく人手、マンパワーが圧倒的に不足している。震災復旧対策室の小林勇次長は、「津波被害の判定については、即日交付している」と話すが、津波による被害の場合でも家族構成などの確認作業に時間がかかり、義援金の支給が遅れているという。
義援金を待ち望んでいる人にとっては、速やかな給付が望まれる。毎日、避難所から仕事に向かう津田辰治さん(58)。息子の学さんは、21歳の誕生日を迎える直前、津波の犠牲になった。津田さんは、灯油などを配達する仕事をしているが、本社が被災。震災前と比べ、給料は8割に減った。津田さんは、家族3人で避難所で暮らしている。妻の由美さん(50)は、自宅で美容室を営んでいたが、津波ですべてを流された。娘の美佳さん(24)も職場を流され、失業状態だ。津田さんは「息子の遺骨だけ焼いて、葬儀をやっていない。悲しい面はいっぱいあるけど、涙ひとつも流せてない。まだ涙も流したくない」と話す。