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2011年6月16日

三男・金正恩氏が登場してからの北朝鮮

三男・金正恩氏が登場してからの北朝鮮

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男・正恩(ジョンウン)氏が後継候補として公式に登場して9カ月。国内では、後継体制固めが続く一方で、経済は悪化している。北朝鮮の内部情報を伝える雑誌「リムジンガン」の記者・金東哲(キム・ドンチョル)氏が、北朝鮮の現状を取材した。

1月の北朝鮮の朝は、氷点下15度を下回る。町には、帰る家を失った人たち、コチェビの姿が目立つ。炭鉱街では、19歳のコチェビが暖炉の排気口に顔を当て、寒さをしのいでいた。別の町で出会った8歳のコチェビは、大人もののジャンパーを頭から被り、「お母さんが再婚したけど、新しいお父さんが死んでしまうと、お母さんは『暮らしていけない』と僕を置いて実家に帰った。今は外で寝ている」と話す。帰る家を失ったのは、子どもだけではない。元炭鉱労働者(50)は、「外で寝ている。家族はみんな死んだ。石炭を拾い集めて売っている。仕事がしたい」と涙ながらに話す。北朝鮮では、今年に入ってから町をさまよい続けるコチェビが増えているというが、市場には、コメなどの食糧が十分に出回っている。飢える人の前にコメが並ぶ現実。食糧が足りないというより、食糧を買えない人が増加している。

経済復興が遅々として進まない中、国内の世襲後継体制づくりが進んでいた。平壌市東部の郊外では、車輪のついた長い台車が道路を塞ぐ。鉄道工事が行われていた。大勢の男たちが台車の上で作業をしたり、鉄骨などの資材を運ぶ。現場で足止めをされた軍の将校が抗議を始めたが、現場監督も黙っていない。工事を急ぐ現場監督に聞くと、後継候補である正恩氏の名前を口にした。正恩氏の生家があるという平壌市郊外の香木里(ヒャンモンリ)と、隣接する平城市(ピョンソンシ)を結ぶ鉄道を敷いているという。現場監督は「将軍様から正恩同志への贈り物だ」と話す。金東哲氏は権力の世襲について、「人民に選ばれた人が政治をやるべき。民衆の暮らしは、今、どん底なのに、世襲後継は本当に腹が立つ」と憤る。金東哲氏が訪ねた朝鮮労働党の中堅幹部は、「トップは金正日、2番目は李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長、その次が正恩だが、軍事のことは何もわかっていない。軍のナンバー3というのは、序列だけ。死ぬほど勉強してもどうにもならん」と言い放った。今年に入り、政権を揺るがす窮乏ぶりも明らかになった。

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