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2011年6月17日

たった一人で大規模農業に挑む男

たった一人で大規模農業に挑む男

シリーズ『復活!日本の成長力』。農政の壁にぶつかりながら、世界標準の大規模農業を目指している福井県の農家に経済ジャーナリスト・財部誠一氏が密着した。

福井県の専業農家・片岡仁彦さん(47)は、50haの農地で、ジャガイモ、ソバ、大豆、コメなどを生産している。片岡さんが使っているトラクターは外国製で、約1500万円。国産の一般的なものが2台買える値段だ。片岡さんは「大面積をこなすのに機械力はすごく大切。一人で作業をすることが多いから、機械力がそのまま時間短縮に繋がる」と話す。現在、年間の売り上げは約3000万円。大型機械の力で、経営面積を拡大させてきた。片岡さんのトラクターは30年後でも部品の供給があり、長く使うことがコストダウンに繋がるという。

もともと機械をいじるのが好きだったという片岡さんは、工業大学を卒業後、農業なら機械を扱えると、地元の農協に就職。しかし、そこで任された仕事に片岡さんは幻滅する。「組合員(農家)に対して、着物、宝石や仏壇などいろんな物を売ってこいと。一番頭にきたのが、コメの消費を拡大しないといけない立場なのに、パンを作る機械、ホームベーカリーを売ってこいと言われたこと」と話す。片岡さんは、3年足らずで農協を退職。農業を始めたのは、30歳のときだった。当時、コメの輸入が解禁され、農業は冬の時代とされていたが、片岡さんは「コメを作る人がいなくなるのではないか、離農者が増えると思ったからチャンスだ」と捉えたという。片岡さんは、新聞に『農地を貸してください』と広告を載せたが、反応はなかった。時間をかけて地主を説得して回った。そして、借りられたのは、耕作放棄地。荒れた土地を一人で切り拓き、経営規模を拡大していった。しかし、片岡さんが目指す“効率的な農業”を阻む問題があった。片岡さんが借りている畑は、あちこちに点在していた。一つの畑で作業を終えると、再びトラクターを積んで移動。畑と畑を行き来するのに、車で1時間近くかかる場所もあった。農地を集約したくても、そこでネックとなるのが、農地を資産とみなす地主の意識だという。「公共事業やスーパーマーケットなどの開発が入り、土地の値上がりを期待して、たとえ耕作放棄地であっても『貸さない』『売らない』という農家が多い」と話す。

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