

2012年4月2日
3月22日、中国の南京に家電量販店『ヤマダ電機』がオープンした。朝から降り続く雨のなか、開店セールを目当てに数百人の行列ができた。南京に日本の大型小売店が出店するのは初めてのこと。人口750万人、10%以上の成長率を維持する南京だが、戦時中の「南京事件」をめぐる歴史認識の問題から、日本企業の進出が最も難しい地域とされている。その南京に進出したヤマダ電機。経済ジャーナリストの財部誠一氏が取材した。
ヤマダ電機南京店は、日本とほぼ同じ店作りになっている。7階までの売り場には、テレビから化粧品やおもちゃまで、約150万点が並ぶ。世界最新、最先端の家電製品が揃い、低所得層から富裕層まで、全階層をカバーした品揃えとなっている。南京店のオープンは1月下旬を目指していたが、店の内装工事が遅れていた。さらに、そこに思いもよらぬ出来事も起こった。名古屋市の河村たかし市長が「通常の戦闘行為はあったが、南京事件はなかったのではないか」と発言したことが波紋を広げ、開店は大幅に遅れた。
年間売上高2兆円を超えるヤマダ電機。一代で、町の電器店から世界第2位の家電量販店に育て上げた山田昇会長には、南京進出に明確な戦略があった。「商品は同じだから、特性は価格。南京に出ることによって、日本の秋葉原になる。市場が広がる」という。さらに、南京戦略において一番力を入れているのが、日本の“もてなし”を全面に押し出し、しかも、中国人社員だけで南京店を運営することだ。去年12月、日本で、南京店の幹部となる中国人社員の研修が行われた。ヤマダ電機は、日本語の堪能な中国人留学生たちを大量に採用し、日本流の接客を徹底的に教育。彼らが、現地で採用した店員に同じことを教えることで、日本の接客や仕組みを中国にそのまま持ち込む。研修中、中国人幹部に教えた日本流の“もてなし”の一つが、客が椅子に座ったときには、必ずひざまづいて対応することだった。遼寧省鞍山市出身のウ・ホウイさん(23)は、日本の大学を卒業して、去年秋にヤマダ電機に入社した。ウさんは、ヤマダ電気と中国の量販店の違いは、サービスだという。中国では商品を買ってもらって当たり前で、立場は、販売員のほうが高いという。
中国では、大学を卒業したばかりの新卒300人が、南京店の店員として採用された。
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