

2012年5月31日
今、国会で議論されている消費税増税の目的の一つは、財政再建だ。ところが、政権交代してから国の予算は10兆円も増えている。増税を訴える一方、歳出の増加に歯止めがかからない。こうした中、国土交通省は、凍結されていた高速道路工事の再開を次々と解除している。
愛知県と富山県を結ぶ東海北陸道は、標高1000m前後の山間を通る。4車線化の事業が復活したのは、白鳥〜飛騨清見の区間だ。4車線化は、自民党の金子一義氏が国土交通大臣だった3年前に決まった話だ。工事区間は金子氏の選挙区にある。2009年の総選挙で金子氏は当選したものの、自民党は大敗。“コンクリートから人へ”を訴えた民主党が政権についた。すると、この4車線化事業は凍結された。金子氏の地元・岐阜県高山市。地元の新聞は『金子降り 高速道も かねこおり』という川柳を載せた。“かねこおり”は地元の方言で“つらら”という意味。つまり凍結だ。ところが、先月、事態が急変した。前田国土交通大臣は『4車線化事業を開始したい』と発表。この決定を金子氏は歓迎した。金子氏は「4車線化、八ツ場ダム、新幹線。全部、私が大臣の時に事業化したもの。白紙になっていたのを前田さんが全部再開してくれた」と話す。金子氏の後援会の集まりでは、金子氏のおかげで凍結が解除されたと受け止めている。自民党を支持する地元建設業者は『地元の仕事も、多少、潤うということで、当然いいこと』『できれば、工事の恩恵にあずかりたい』などと期待が膨らむ。一方、金子氏の選挙区には、民主党の今井雅人幹事長補佐がいる。4車線化事業の凍結解除が決まると、今井氏は民主党の成果だとしたビラを地元に配布した。「必要なものは、造っていかなければならない」という。今井氏は、岐阜県白川村の成原茂村長などに工事再開を伝えた。成原村長は「凍結で、奈落の底に一旦落とされて、今回、事業認可をいただき本当に喜んでいる」と話す。工事再開が実現したのは、与党の力なのか。成原村長は「与党で、今井議員は幹事長補佐をしているので、新人とはいえ、相当、力は持っているという思いはしている」という。凍結解除を待ち望んだのは、民主党も自民党も同じだった。
問題は890億円となる建設費だ。高速道路会社は、これを新たな借金で調達することになる。ただ、旧道路公団などの借金は、約31兆円も残っている。
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