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2012年7月11日

官邸の介入と吉田所長の本音

官邸の介入と吉田所長の本音

福島第一原発事故に関する国会の事故調査委員会が出した報告書を検証する。国会事故調の調査で、総理官邸の現場の事故対応への過剰な介入が明らかになった。それは、これまで非公開だった東電本社と福島第一原発をつなぐテレビ会議の映像に克明に記録されていた。事故調の報告書には、そのやり取りを文字にしたものを載せている。

総理官邸からの指示や問い合わせは、東電本社経由で現場に伝えられていた。3号機が爆発する8時間前、3月14日午前3時22分。東電本社から福島第一原発に連絡が入った。
【東電本社】官邸が用意した4台の消防車を運んだが、それが使えない理由を教えてください。官邸に答えないといけない。
【福島第一原発】昨日2台来た。
【東電本社】本当につまらない話で申し訳ないが、官邸への対応の話だけど、早くその2台を現場に持って行って使ってほしい。
この会話に、福島第一原発で陣頭指揮を執っていた所長の吉田昌郎氏が割って入り、『基本的に人がいない。物だけもらっても運転する人がいない』と断った。

国会事故調の野村修也委員は、テレビ会議を録画したVTRを見ている。野村氏は「本来ならば、東電本店は現場の声を聞いて、官邸に対して、しっかりと現場のことを伝えるべきだった。しかし、東電本店は、なぜか現場より官邸の意向を優先する対応を取ったことが混乱の一つであることは否めない」と話す。去年11月、吉田氏は入院する前に取材に応じ、「極端なことを言うと、『もう死ぬだろう』と思ったことが数度あった」と話した。事故直後、想定外の出来事が次々と起こり、緊迫した状況が続く。そんななか、吉田氏にも直接、総理官邸から電話が入るようになったという。野村氏は、今年5月に吉田氏から聞き取り調査を行っている。野村氏は「官邸の対策室から吉田さんのところに連絡や問い合わせが来ることは予定されていなかった。それが、今回の事故対応のなかでは、直接的な指示や問い合わせがあったこと対して、吉田氏は『指揮命令系統に混乱が生じていたように感じた』と言っていた」と話す。3月12日、水素爆発を起こした1号機では、作業員が決死の覚悟で、海水注入を行う準備を再開した。そして、12日の午後7時4分。吉田氏の指示で海水の注入を始めた。ところが、このとき総理官邸では、まだ海水注入をめぐる議論が続いていた。

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