

2012年11月5日
福島第二原発を抱える福島県楢葉町は、大熊町、双葉町などと比べ、比較的線量が低い。今年8月、警戒区域は解除され、町のほぼ全域が、住民の早期帰還を目指す“避難指示解除準備区域”に再編された。これにより本格的な除染が始まり、一時帰宅も自由にできるようになった。しかし、再編発表からわずか9日後。突然の発表が住民帰還の道筋に影を落とした。政府は、中間貯蔵施設建設の候補地に、福島第一原発がある双葉町と大熊町の11カ所、そして、楢葉町の1カ所を挙げた。
中間貯蔵施設では、除染で出る土壌など、放射性物質を含む廃棄物を、一時的に保管する。最長で30年間の方針だが、その後の最終処分場は、候補地すら決まっていない。楢葉町で候補地とされた波倉地区は、福島第二原発の南西にあたる。政府は、当初、中間貯蔵施設は、年間被ばく線量が100ミリシーベルトを超える地域に造る考えだった。比較的線量の低い楢葉町が選ばれたことに、当時の環境大臣、細野政調会長は「線量の高いところは、中間貯蔵施設を造ること自体もある種の壁がある。比較的容易に造れる場所についても考えていく必要がある」と話す。楢葉町は、線量が低く、造りやすいところだからこそ選ばれたという。今の政府案では、楢葉町の中間貯蔵施設には、いわき市と広野町からも廃棄物を運び込む予定になっている。先月26日、長浜環境大臣が楢葉町役場を訪問。しかし、町は政府案には反対の立場で、話し合いは進んでいない。候補地となってすでに2カ月半。周辺住民には何の説明もないままだ。
長年住む自宅の修復に訪れた植松さん夫妻。武さん(66)は「せっかく警戒区域を解除したのに、中間貯蔵施設を持ってくる。それで『帰れ』というのは矛盾している。東京に電気を送って、東京が潤った。そして、こういう事故が起きて、『処分は全部地元でやれ』というのは、本当に矛盾している」と嘆く。自宅の目の前が中間貯蔵施設の候補地となっている阿野田登美夫さん(63)。知らない間に候補地にされていたという。もちろん中間貯蔵施設の建設に関する説明はない。阿野田さんには、国への不信感と同時に複雑な思いもある。この地区と原発は、密接に関わりあってきた。阿野田さんの父親は、第二原発の地権者会の会長をやっていて、原発誘致にも積極的だった。阿野田さん自身も、原発への送迎バスの運転手をしている。
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