

2013年4月4日
4月から始まった妊婦の採血をするだけで胎児の病気や障害がわかる検査、新しい出生前診断。これまで行われてきた羊水検査は、わずかに流産の危険性があったが、新しい検査ではない。さらに、『異常なし』の場合、その精度は99%と非常に高い。国内では、4月1日からカウンセリングなどの体制が整った15の医療機関で受け付けが始まった。手軽で安全な検査である一方で、結果を知ることの重みは、これまでと何ら変わりない。従来の出生前診断で、『異常あり』の診断を受けた二組の夫婦の決断を取材した。
大阪市天王寺区の『クリフムマタニティクリニック』。従来型の方法で、出生前診断を専門に行うクリニックだ。高齢出産を控えた人たちを中心に、多くの妊婦が訪ねてくる。このクリニックを訪れた藪崎匡史さん(32)と喜子さん(31)夫婦。2人は生まれてくる双子の子どもに異常があることを知った。診断では、片方の胎児の心臓に異常があることが見つかった。最悪、その胎児が亡くなるだけでなく、もう一人の胎児にも影響が及び、「重い障害」を持って生まれる可能性が高い。1時間に及んだカウンセリング。喜子さんは「仮に産まないとなっても、もう胎動がある。人工的に死産させるにしても体がしんどい。産みたい気持ちはあるけど、病気の重症度がわからない」と涙ぐむ。藪崎さん夫婦は、この日、結論を出せなかった。双子の胎児に異常が見つかって2週間。喜子さんは、悩んだ末に“産む”決断をした。長女の一言が、喜子さんの背中を押したという。「双子が病気を持っていることを話したとき、長女が『神様に赤ちゃんの病気が治るように100回お願いしたら、治るかな』と言ってくれた」と話す。知ることで家族は、少しだけ早く心の準備ができた。匡史さんは、「お腹にいる段階で問題を抱えていることがわかれば、専門の先生に診てもらったりできる。何かができる機会が得られるので、胎児の状況を事前に確認できるのはいいこと」と話す。
結果を知ることで迫られる“選択”。胎児がダウン症と診断されたある夫婦。2人は、黙って医師の話を聞き続けた。10分後、最初に口を開いたのは夫(38)だった。「胎児が女の子で、将来、彼女が大きくなって、結婚して子どもを産むとしたら、その子どもに影響するのか」「次の子も、障害を抱える可能性が高いのか」など、医師への質問を繰り返した。
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