

2013年5月17日
憲法改正の手続きを定めた96条。衆参両院の3分の2の賛成で、国会が発議し、そのうえで国民投票にかけ、過半数が賛成した場合、改憲が成立するとしている。安倍総理は、改憲をしやすくするため、その3分の2というハードルを“2分の1”に引き下げたい考えだ。96条改正に意欲を燃やす安倍総理。ところが、同じく憲法改正を訴える、いわゆる改憲派から、96条の先行改正に異論が出ている。
憲法学者で慶応大学教授の小林節氏は、自民党の勉強会などで講師を務め、9条改正にこだわり、改憲派の議論を引っ張ってきた。小林氏は、「国民が、もっと自由で豊かであること、もっと平和であること。この方向に向かって憲法を工夫することこそが改憲論」との信念を抱いている。しかし、今回の96条の憲法改正手続きを3分の2から2分の1に引き下げることには違和感を覚えるという。「改憲の内容も説明しないで、“手続きだったら3分の2の与野党合意ができそうだ”という考えは、ずるすぎる。3分の2の多数決でないと発議できないというのは、世界の標準相場。憲法改正は、国の土台に関わる大きな決断だからこそ、正々堂々とフェアプレーの精神でいかないとだめ」と指摘する。漫画家の小林よしのり氏も改憲派だ。戦争放棄を謳った憲法9条を現実的でないとし、自主憲法を作るべきだと主張している。「私は改憲派だから、日本国憲法をどのように変えていけばいいのかというところは考えている」。それでも、今回、納得いかないのは、96条だけを先行して改正する点だという。「憲法をどのように変えるのかという議論が先であって、ルールから変えていこうというのは、おかしい」と話す。すでに、第一次安倍内閣は、“国民投票法”を成立させている。これは、全有権者ではなく、“有効投票の過半数が賛成”すれば、改憲できるとしている。小林氏は、この点についても反対だ。「最低投票率を決めていないから、例えば40%の有効投票率の2分の1、半数となると、国民の2割で決まってしまう。本当に国民の手にゆだねるというのなら、全有権者の半数ということに戻さないといけない」と指摘する。また、自民党内からも、96条の先行改正に懸念する声が上がっている。自民党憲法改正推進本部長代行の船田元衆院議員。憲法改正を進める責任者の一人ではあるが、憲法を変えやすくすることに、これまで慎重だったという。
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