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2013年5月24日

TPP検証『ISD条項』

TPP検証『ISD条項』

TPP=環太平洋経済連携協定について考える。今回は、『ISD条項』について。国が制度を変えることによって、投資をしている企業が損をした場合、その企業が賠償金を求めて国際機関に訴えることができる仕組みだ。メキシコ、アメリカ、オーストラリアの仲裁事案を踏まえつつ、日本が外国企業からの提訴を防ぐために何が必要なのか検証する。

1994年、アメリカで廃棄物処理を行う企業が、メキシコ中央政府の許可で、メキシコ中部に位置する街、ロス・アモーレスでの埋め立て場の建設に着手した。しかし、水質汚染の懸念から、地域住民らによる激しい反対運動が起こったため、メキシコ地方政府は、建設停止を命じた。アメリカ企業は、急な建設停止命令によって損害を被ったとして、ISD条項に基づき、メキシコ政府を訴えた。その結果、地方政府に建設停止を命じる権限はなく、アメリカ企業に対する差別的な扱いだとして、メキシコ政府は、約1700万ドル、日本円で17億円の賠償を命じられた。こうした“企業と国”の争いを裁く場所が、アメリカ・ワシントンの世界銀行本部にある。傘下の仲裁機関『ICSID=投資紛争解決国際センター』だ。ICSID仲裁人のジャド・ケスラー氏によると、議場には、中央に長テーブルが置かれ、原告の外国企業と被告の政府関係者が相対する。仲裁は、3人の仲裁人によって行われるという。国と企業が1名ずつを指名し、議長となる3人目は、双方の合意か、センターの推薦によって別の国籍の仲裁人を決定する。裁定は、多数決で行われることもあるという。ただ、アメリカが大きな影響力を持つ世界銀行傘下の組織で仲裁の中立性は保たれるのか。ケスラー氏は、「訴訟・仲裁は紛争解決の手段として、日本やアジア全体で好まれる方法ではない。仲裁人は、国際的な法律で適用する必要があるから、非常に中立な裁定だということは理解してほしい」と話す。アメリカが、カナダやメキシコと結んだNAFTA=北米自由貿易協定のケースでみると、企業がISD条項で国を提訴したのは45件。そのうち29件がアメリカ企業だ。巨額の賠償金を勝ち取った例もあるが、負けたケースも11件ある。ケスラー氏は、「アメリカ企業が他国の企業と比べて、より巧妙だとか、用意周到だということはない」という。

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