

2013年8月20日
日本政府が台湾に対し、領海を除いて尖閣諸島の周辺海域での漁業権を認めた『日台漁業協定』の運用が5月10日から始まった。尖閣周辺の海域をめぐっては、これまで台湾は、“暫定執法線”と呼ばれる独自の線を引き、自国の海域と主張してきたが、日本側は認めず、20年にわたり、交渉が進まなかった。それが今年4月、台湾の主張を一部認める形で、日台漁業協定が結ばれた。これまで日本政府は、台湾船が漁を行っても、事実上、黙認してきた。そのなかで、一定の水域を確保したことは、“画期的”と評価する。しかし、今、この協定に対し、沖縄の漁師たちから怒りの声が上がっている。沖縄の海で何が起きているのか。
石垣島の漁師・高橋拓也さん(41)の主な漁場は、尖閣諸島周辺の海域で、収入源は、4〜6月にかけて釣るクロマグロだ。ところが、その漁場に、5月以降、台湾船が大挙してやってきた。高橋さんは、「漁場の多くが奪われた」と嘆く。その原因の一つが、マグロ漁で使う“はえ縄”と呼ばれる漁具にある。日本製の縄は、台湾の縄に比べ細く、交差すると、日本の縄が切れてしまう。縄を入れる方向も日本は南北、台湾は東西と、まったく違う。そのため、一緒に漁をすれば、トラブルは避けられない。もし、縄が切れれば、その被害は数百万円に上る。結果、高橋さんら漁師は、この漁場をあきらめざるを得なかった。高橋さんの収入は、例年に比べ、半分に減ったという。高橋さんは、「協定が結ばれ、最初は怒りだった。でも、台湾船も協定が結ばれたから来ているのだけど、本当に良い漁場だから、外交上、失敗だと思う」と話す。
協定の締結を急いだ背景には、尖閣諸島をめぐる思惑があった。日本政府は、尖閣諸島で台湾との連携を図りたい中国をけん制する狙いがあったという。ところが、国は、この協定について、沖縄県や地元漁師たちに何も知らせていなかった。漁師は不満を爆発させ、県知事など沖縄関係者は、連日のように抗議文書を抱え、東京で陳情。しかし、協定は結ばれた。沖縄県が協定を結ぶことを知らされたのは、わずか数日前だった。しかも、漁獲高や縄の入れ方など、漁場でのルールは、今もまとまっていない。なぜ、ルールを作る前に協定は結ばれたのか。水産庁関係者は、「クロマグロ漁のシーズンは、4〜6月にかけて。この時期より後だと台湾にとって協定は意味がない。
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