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秋の中央アジア3カ国 と中東ドバイの旅編 撮影日記

林立する高層ビルの間を走るドバイ・メトロ
念願のドバイに降り立つ
ドバイの空港を出ると、むわっとした熱気が襲ってきた。気温32度。肌がじんわりと湿ってくる。横を見ると、新陳代謝が良い築館カメラマンの頭からは、既に滝のような汗が流れている。「これでも涼しくなった方ですヨ」。コーディネーターのカリヤさんが分厚い胸板をさらに膨らませながら、人懐っこい笑顔で近づいてきた。筋肉量に反比例して身長は低め。推定2mの撮影助手・廣瀬(通称:ジャンボ)にはカリヤさんが見えていないのか、目を丸くしてキョロキョロしている。ジャンボの日陰に立ちながらカリヤさんと軽い挨拶を交わし、ホテルへと向かう。車窓には、首が痛くなるほどの高層ビルが立ち並び、巨大な看板にはミミズの這ったようなアラビア文字がデザイン化され描かれている。初めてのドバイ。次第に気分が高まってくる。
ドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国のひとつ。首長国とは、イスラム圏内の君主の称号“首長”が君臨する国のこと。ドバイはその首長国の名前でもあり、都市の名前でもある。1966年に石油が発見されたのを機に発展を遂げたドバイだが、石油に依存しない経済基盤を作り上げることを国策として都市開発を進め、急速な発展を遂げている。2009年には中東初の都市鉄道としてドバイ・メトロが開業。今回、番組で初めて取材にやってきた。
撮影するのは3つ。街を東から西へ横断するように走るドバイ・メトロと街の中心部から少し離れたマリーナ地区を走るドバイ・トラム、そしてヤシの木の形をした人工島、パーム・ジュメイラを走るパーム・モノレール。ICカードや無人運転システムなど鉄道機関のほとんどが電子化され、車内の空調管理は抜群、Wi-Fi環境も整っている。中央アジアの雄大な大地の中を旅してきた我々にとって、それはもはやリハビリが必要なほどのギャップ。気持ちが浮ついてフワフワしている足に力を込め、ドバイの鉄道の魅力を紹介していきたい。
ディレクター 廣澤 鉄馬
メトロの車内
往古の雰囲気を残すドバイ・クリーク