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スペイン編 撮影日記

巨大パエリアが出来上がるまで2時間以上、火の前に立つ
バレンシアのUMAMI
バレンシアでは、初夏に水田が広がっているらしい。そんな情報を知り、ぜひ撮影したいと思っていたが、撮影に行ったのは4月後半で、水田の時期には少し早すぎた。日本のような水田を妄想していたために、まだ茶色い大地しか見られなかったのは残念だったが、代々米作りをしている農家のビセンテさんに美味しい米を作るコツを聞いたり、土を耕す様子を見ているうちに、食べる品種は違えど、同じ米を愛する仲間として、とても身近な存在に感じられた。
スペイン人にとって、米は恐らく野菜の一種のような存在なのだろう。市場に並ぶ米は、日本のような5キロ、10キロという量ではなく、量り売りや500グラム単位で売られている。せっかくなので、バレンシアが発祥と言われるパエリアの調理も撮影しに行くことにした。ちょうど団体の予約が入っているということで、20人前の鍋を4つ並べて調理する様子を撮影したのだが、巨大鍋で調理する時間は2時間をゆうに超えていた。1人でキッチンに立つ女性は、我々の質問にも答える余裕っぷりで、テキパキと調理をしていく。薪の量を調整しながら火力を強め、パチパチといい音がしてきたら、最後に予熱で絶妙なおこげをつくり、完成。団体さんが食べる様子を撮影し、我々も昼食に本場のパエリアを頂いた。パリパリおこげに、ぶつ切りの鶏肉や豆、旨みたっぷりの出来たてパエリアは、日本人スタッフをほっとさせる味だった。
バレンシアの伝統料理を撮影した日、夕食はロケの前半、撮影に同行してくれたドライバーの弟さんが営むレストランに行くことにした。バレンシア育ちのドライバーに是非と誘われて行った店の名前はUMAMI。バレンシア北駅から1キロくらいの場所にある。日本料理の店かと思いきや、UMAMIは、スペインでも日常的に使われる単語らしく、佇まいはお洒落なビストロ。新しい調理法をいろいろ取り入れているそうで、頂いたのは真空調理器で柔らかく仕上げたタコや、前衛的な盛り付けのポテトサラダなど。出てくる料理全て、手が込んでいて美味しい。UMAMIという店名がとてもしっくりくるなと思った。そして、美味しいものを作るためには、労を惜しまないバレンシアの人たちの真髄に触れた1日を振り返った。
ディレクター 渡部博美
米は量り売りでも買える
米どころバレンシアの広大な田んぼ