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秋の中央アジア3カ国 と中東ドバイの旅編 撮影日記

アムダリヤ川を渡り、トルクメニスタンの旅が始まる
3カ国目トルクメニスタンで撮影開始!
シルクロードを辿る旅、いよいよ3カ国目のトルクメニスタンに入った。国名だけでは、あまりピンと来ない人も多いかもしれない。地理的には、中央アジア南西部に位置し、北はウズベキスタン、東はアフガニスタン、南にイラン、そして西側はカスピ海と接している。国土の面積は日本の約1.3倍。その8割以上を砂漠が占める国だ。かつてはウズベキスタンから国際列車が走っていたが、現在は運行していないため、今回はトルクメニスタン東部の交通の要衝、トルクメナバトからスタートし、首都アシガバットを通って、カスピ海沿岸の街トルクメンバシを目指す。
トルクメニスタンは、基本的には自由観光が認められていない上に、政府の施設や街での撮影に厳しい制限があるため、どうしても他国と比べて情報は少ない。そうした事もあり、個人的に少し地味なイメージを持っていたのだが、とんでもない。いざ入国してみると、街の発展ぶりや美観に心底驚かされた。きれいに整備された広々とした道路に、豪奢な博物館や図書館などの公共施設が立ち並ぶ。もちろん、それはまだ街のごく一部に限られてはいるのだが、それでも、この国が着実に都市開発を進めていることがうかがえる。その背景にあるのは、地下資源の輸出による豊かな財政と独特の政策だ。
ソ連崩壊により1991年に独立したこの国は、一貫した中立政策をもとに、1995年には世界で唯一の国連総会で承認された永世中立国となった(スイスなど他の永世中立国は、周辺国の承認は得ているが国連承認は得ていない)。国民の豊かな生活を重んじて、国益を国民にも還元。税金はなく、学費や医療費は無料。住宅も公共料金も破格で提供されているという。
それだけ聞くと何とも景気の良い話だが、では実際に国民の暮らしぶりはどんなだろうかと興味が湧いたが、鉄道の撮影だけではそこまで深く知ることはできなかった…。決して取材の自由度は高くないが、それがかえって私の好奇心をくすぐってくる。どこかでその固い扉を開けられないものかと密かに思いながら、旅を続けていた。
ディレクター 廣澤 鉄馬
マリの図書館と天文台
博物館の学生たち