世界の車窓から

トップページ > 撮影日記

春の台湾 潮風・新緑・恋の香りを辿る旅編 撮影日記

田園地帯を走る
台湾の風景
台北を起点に台湾一周を目指す旅。
列車は、まず南部最大の都市・高雄を目指し南下する。
走行距離およそ380キロ。日本で言うと東京から岐阜までくらいの距離だろうか。
しかし、旅を進めていくとその風景は少しずつ変化していった。
今回は旅の中で出会った“印象に残った風景”を幾つか紹介しようと思う。
まずは、「田園」。
台湾はお米が主食。ほぼ全ての地域で田園地帯が存在する。
ただ違うのは、その表情が地域によって違うことだ。
台北の田園は田植え直後の時期だった。田んぼに張られた水が鏡のように空を反射し、都会の風景の中でキラキラと輝いている。
それが台中を過ぎた辺りになると稲が生長し、田園は緑色の絨毯をひいたようになる。野菜畑の風景と混ざり合いパッチワークの風景を作り出すのである。
さらに南下し高雄に近づくと、田園の周りをヤシの木が囲み始め、南国・台湾らしい田園風景だった。
このように南下していくにつれ、少しずつ表情を変える田園の表情は、私たちに“旅の移動感”を感じさせてくれた。
次に印象的だったのが、「寺院」。
台湾では仏教や道教など多くの宗教が信仰されている。
特に道教などの寺院は、流線形の屋根や龍の彫刻など特徴的デザインなどが施されていることが多く、見ていて面白かった。
私たちはその道教の寺院と本当に至る所で出会うことが多く、アパートの一階部分が寺院になっていたり、広大な畑や田園風景の中にポツン、ポツンと寺院が建っていたり。その一つ一つのデザインや周りの風景との溶け込み具合がとても面白かった。
台湾は日本と近いため、風景は似ているといわれることが多い。そのため、様々な風景の中に道教の寺院を見かけると、改めて台湾を旅していることに気づかされた。
他にも、2000m級の山々を行く阿里山森林鉄道では、ちょうど桜が満開。桜の周りでは多くの観光客が写真を撮り、お酒を飲み、にぎやかにお花見している様子は、もう日本と変わらない風景だったのも印象的だった。
台北から高雄までの間で、様々な風景で魅了してくれた台湾の旅。高雄から先の後半戦はどのような風景が待っているのか、私たちは期待が高まっていくのであった。
ディレクター 小野田治矢
装飾豊かな台湾の寺院
阿里山森林鉄道沿線の桜