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インド編 撮影日記

バンガロールの青果市場の喧騒
10年越しのインド
僕は、ちょうど10年ほど前、まだ学生だったころにインドには訪れたことがある。路上にあふれる物乞い、リキシャー(自転車タクシー)の喧騒、ガンジス川に流される死骸、見るもの全てが鮮烈。それでいて、懐かしい。それがインドの印象だった。インドは10年経って、どうなっただろう。今回はインド南部を鉄道で巡る。まずはデリーを経由して、起点となる都市、バンガロールへと空路で向かった。
インドに着いた翌日、さっそく、バンガロールを撮影しに中心街に繰り出した。大都会なので、車の交通量は多い。通りがかる人たちはいたって普通のスーツやGパンなどさっぱりした格好…あれ、なんか違う…まず、物乞いがいない。リキシャーがいない。Gパンやスーツなんて10年前はあまり見かけなかった!
この10年でインドは劇的に変わりつつあるらしい。貧困層への支援は充実してきているし、カースト制も都市部ではかなり崩れつつある。渋滞の原因となるリキシャーは規制されている。加えてバンガロールと言えば、IT企業が集積するインド最先端の都市。そこにはかつてのインドの姿はなく、新生インドだったのだ。
そうかあ…と思いながら、次に向かった青果市場で出会ったのは、大勢の人。啖呵をきって、なんでも売りつけようとする商売人たち。むせかえるような人いきれ。この強烈な人間のパワーは変わっていない…なんだか安心してしまった。今のインドには古いものも、新しいものも渾然一体となって、ある。うーん。10年越しのインド、おもしろくなりそうです。
ディレクター  宮部 洋二郎
バンガロール市内のビジネスマン達
青果市場のニンニク売り