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2/16 スピードスケート女子パワー<宮嶋泰子>
 
  6大会連続でメダルを取り続けて来た男子500mですが、及川選手の4位が最高という結果に終ってしまいました。加藤選手の一本目のレースを見ながら、五輪で自分の最高のパフォーマンスを出すことがいかに難しいことなのかを改めて思い知らされました。
     

スタジオに来た加藤選手と及川選手

会場でとても印象的だったのが、優勝した米国のジョーイ・チーク選手の笑顔です。一本目を滑るとき、名前をコールされて、チークは手を上げて笑顔で場内の観客にアピールしたのです。もちろん加藤選手も清水選手も笑顔はありませんでした。

かつて、有森裕子選手に伺ったことがあるのですが、笑顔は身体の筋肉を程よくリラックスさせるので、試合の時には出来るだけ笑顔で臨むようにしているとのことでした。笑顔パワーはスポーツには欠かせないものかもしれません。

加藤選手は二本目に滑る前に、観客席の応援団と笑顔で挨拶を交わし、彼らからパワーをもらったと言います。また、及川選手もいつもニコニコしている選手です。普段どおりにリラックスしていて、スタート10分前から戦闘態勢に入れればいいと公言していました。気持ちの切り替えがいかに大切かということでしょう。
 

そして、待ちに待った女子500mが行われた2月14日。

レース開始の2時間前、外で黙々とウォーミングアップする岡崎さんの姿がありました。
いつもと同じです。
「普段の練習どおりの力が出せるように、がんばります。」

オリンピックの試合直前の選手の姿をこれまで多く撮影してきましたが、こちらの存在に気づいて、自然に声をかけてきたのは岡崎さんが初めてです。
特別なバリアを張る選手が多い中、かえってこの自然さが不思議でした。

16時から始まった女子500m
7組が終ってインターミッション(休憩)が15分ほど入り、8組から強豪たちが登場します。

8組は優勝候補といわれる二人が登場です。
インコースがドイツのウォルフ、
アウトコースがロシアのズロワ。
スタートから100mまで、
ウォルフが10秒39
ズロワが10秒46
二人とも10秒5をきる速さです。
第二カーブからズロワが伸びてズロワ38秒23でゴール。
ウォルフは38秒70

今回のスターターは静止姿勢をことのほか厳しくチェックします。
スタートのポーズをとってからしっかり2秒間静止しないと、すぐフォルトをとられてしまいます。

9組でスタートしたオランダのティメルは二度目にフォルトを取られ、失格。
長野の金メダリストの大ベテランが顔を紅潮させて悔しさと無念さで顔を真っ赤にして下を向いている姿の向こうに、この4年間のハードトレーニングが重なって見え、こちらまでやるせない気持ちになってしまいました。
岡崎さんもスタートが早めなので、ちょっと心配。

10組渡辺が登場。中国のレンと同走。
ちょっと太目のレンがパワースケーティングでリード。
渡辺39秒46
レン38秒60


12組、大菅が登場。
4年前のソルトレーク五輪のスタートでバタンと両手を着いてしまったシーンが脳裏に浮かびます。
しかしこの大会のために精神的なトレーニングを積んできただけあって、落ち着いた様子。100m通過10秒58、
ゴールタイムは38秒74
同走の中国ワン・ベイジンに遅れてしまいました。
ベイジンはこの4年間カナダのカルガリーでトレーニングをしてきた中国の秘密兵器。
潜在能力は底知れない美女選手です。
大菅選手、今ひとつ切れが無いようです。
 

13組にはこの2シーズン女子500mで最強ともいえる中国のワン・マンリが登場。
吉井との同走です。
100mワンが10秒48で通過。
吉井は10秒57 
ワンは一歩一歩体重をしっかりかけたストロークでゴール直前にかなり乳酸が溜まったような辛い表情。
ゴールは38秒31 
ズロワに0秒08及ばず2位。
ワン・マンリとしては不満でしょう。
吉井はワンと一緒に滑ったせいで、そう見えるのか、いつもの一歩一歩にしっかり体重を乗せて滑るフォームがそれほど力強く感じられません。
ただスケーティングフォームはいつものように低いままです。
ゴールはワン・マンリにかなりの差をつけられて38秒68
 

前日レースをおこなった長島圭一郎が初めての五輪で、何がなんだかわからずふわふわしたまま終ったと言っていたけれど、同期入社の吉井はどうだったのでしょう。
スタートのとき何度も大きな深呼吸をしていました。
硬くなっていたのでしょうか。
ただレース前にも笑顔が見られたし、レース後にも観客に吉井スマイルを振りまいていたので、頭が真っ白になっていたとは思えないのですが・・・。
笑顔は力を生む。
それを信じて2レース目への期待を膨らませましょう。

14組いよいよ岡崎さんの登場です。
インコースはカナダのレンペル。
五輪初出場の選手です。
岡崎さんはこれが4度目の五輪。落ち着いています。

さあ、鬼門のスタート。
フォルトを取られませんように・・・・
しっかり止まって、号砲とともにスタート。
きれいなスタートです。
まずはほっ・・・

さあ、調子のよしあしをチェックできる100mの通過、
10秒5を切ればOKということになります。
タイムは・・・10秒48
これまでの選手の中で2番目に早い通過タイムです。
良いぞ・・・岡崎。
スムーズなすべり。
ゴールタイムは38秒46
 

3番目のタイムです。
いいぞ、朋ちゃん。
みつあみで観客に手を振る姿が決まっています。
後は2時間後に二本目のレースです。ここでうまくまとめればメダルも夢ではありません。
昨日レースを終えた清水選手と加藤選手も応援に駆けつけています。
 

応援する清水と加藤

二本目の最初に登場した日本選手は、7組の渡辺ゆかり。
岡崎選手と同じ冨士急行の所属ですが、今シーズン初めに右足首を捻挫し、十分な夏季トレーニングが出来ませんでした。
こうしてオリンピックの舞台に立てたこと自体がとてもラッキーだと言っていました。

100mの通過が10秒67
白いスケート靴がゴールラインを通過したのは39秒19後のことでした。
日本の合計で15位。
 

三協のチームメイト吉井小百合と大菅小百合は12組で同走です。
オリンピックで同走は避けたかったと言うことですが、こればかりは一本目のタイムで組み合わせを決めるので、どうにもなりません。

100mの通過が10秒54でなんと同タイム通過。
大菅は先輩の意地で吉井を振り切り38秒65でゴール。
吉井のすべりに今ひとつ切れが無く、38秒75。
大菅は8位
吉井は9位
 

大菅小百合



吉井小百合

そして、私たちにショックを与えたのは13組の中国レンのすべりです。
一本目は38秒60で4位。
二本目、100mを10秒67の平凡なタイムで通過しながら、その後大きな身体全体で空気を引き裂くようなすべりを見せてゴールタイムは38秒27。
速い!
本人は喜びを爆発させています。
日本の合計は76秒87
岡崎はこのタイムを上回らなければなりません。
 



14組で登場した岡崎は100mを10秒41で通過して行きます。
第二カーブを過ぎたところで少し身体が浮いてしまい、同走の韓国リーにリードを許し、38秒46でゴール。
合計タイムは・・・・
76秒92
ああ、100分の5秒、中国のレンに及びません。
 


残りは一組、
一本目トップのロシアのズロワと、二位のワン・マンリです。
この二人が転倒でもしない限り、岡崎さんのメダルはなくなってしまったのです。

呆然としながら最終レースを眺めていました。
ズロワは猛烈なパワーで氷を蹴り上げていきます。
ワン・マンリもこの2シーズン500mの女王として君臨した意地を見せ付けます。
ズロワは38秒34で合計76秒57
ワンは38秒47で合計76秒78

岡崎朋美さんは4位という結果に終りました。
メダルは惜しくも逃しましたが、この1週間、風邪を引いてのどを痛め、気管支に痛みを感じながらの調整でした。
点滴を打ちながらここまでやったのはさすが主将。
見事と言うほかはないでしょう。

こりゃバンクーバー五輪までまたやりそうな予感ですよ。
 

その翌日、2月15日、チームパシュートの予選が行われ、日本チームは良い形で決勝へコマを進めました。5人のスケート娘たちの活躍、期待しましょう!
 




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