

2010年1月20日
イノシシが人里に姿を現し、全国各地で被害が出ている。ミカン生産量の日本一を誇る和歌山県。去年12月12日夜から13日未明にかけて、駅前や住宅街で男女3人がイノシシに襲われる事件があった。イノシシに襲われた男性は太ももを牙で刺され、12針縫う大けがを負った。また15日にもイノシシが住宅に現れる事件があった。イノシシは、暴走の末、線路内に逃走後、電車にはねられ死亡した。頻発するイノシシ騒動。本来、山に住むイノシシが、なぜ人里に出てきて被害を及ぼすようになったのか。
和歌山県田辺市では、ミカンの収穫の最盛期を迎え、通常、被害の少ないといわれる冬場も、イノシシによる食害が広がっている。農家では、畑を守るために、柵や網で囲っているが、効果は少ないと嘆いている。イノシシは、かなり高い場所にあるミカンをいとも簡単に食いちぎり、鼻でミカンを押し付け、皮を剥いて実を食べるという。イノシシは、雑食であるため、土の中にいるミミズや昆虫なども食べる。その地面を掘り起こした際に太い木の根まで切ってしまうため、果樹が枯れてしまう被害が続出している。そうなれば、損害は食害の比ではない。さらに、イノシシは、地面を掘り起こす際に斜面を削ってしまうため、畑そのものがダメになってしまう。2008年度の和歌山県の農作物被害は、約3億2600万円。そのほぼ半数はイノシシによるものだ。駆除を行う猟友会も、人が減り、年々高齢化しているので、山深いところまでは入れなくなっている。大きくなったイノシシは、凶暴で、狩りをするにも危険だ。取材中、地元のハンターから、畑を荒らしていたイノシシを駆除したと連絡があった。駆除したのは、100kg以上のイノシシ。しかし、イノシシを追っていた猟犬が襲われ、6匹のうち1匹は、脇をイノシシの牙で刺され、重傷を負った。
一向に減らないイノシシ被害に対して、新たな防衛策をとる農家が増えている。ミカン農家の丸屋弘吉さんは、被害を少しでも減らそうと、『わな猟免許』を取得した。わな猟免許は、猟銃免許を取得するよりも簡単で安全だという。近年、畑を守るため、わな猟免許を取得する人が、年々増えている。2009年度、和歌山県全域で、わな猟免許を取得した人は、前年度より73人多い179人となった。増え続けるイノシシ被害に行政も動いた。田辺市は、90万円をかけて、わな10基を購入。