

2010年6月14日
食料自給率向上を目的とした米の『戸別所得補償制度』。この制度に参加した農家は0.1ha(1反)あたり1万5000円が支給される。さらに米の価格が過去3年間の平均を下回った場合、その差額分が追加で補償される。ただし、この制度を受けるためには、国が決めた生産調整、いわゆる“減反”に参加しなければならない。戸別所得補償制度の申請受け付けの締め切りが今月末に迫るなか、申請の出足は鈍く、5月31日現在、申請戸数は全国の米販売の農家の約3割、約55万戸。特に、全国有数の米どころ新潟県では、申請した農家は1割に満たない。新潟農政事務所では、「申請のピークは6月中旬になり、これからかなり多く申請されると見込んでいる」と話す。
その新潟では、「間違いなく、1反1万5000円くれるなら魅力的」「収入が入るというのは良いこと。今は景気が悪いし、米も高くない」と戸別所得補償制度への参加を決めた農家もいれば、「減反して1万いくらだったら参加しない」「今年1年(参加せずに)様子を見て、申請をした人としなかった人の結果を見て、来年決める」と参加しないことを決めたり、見合わせた農家もいる。
一方、この制度を積極的に利用しようと考える農家もいる。新潟市の専業農家の福島定一さん(61)は、6.5haの田んぼを所有し、そのうち4haでコシヒカリなどを作っている。福島さんは減反した田んぼを使って30年前から鴨の養殖を始め、「10年たってやっと軌道に乗ってきた」という。今では年間2000羽以上を出荷している。福島さんは、試しに自分で作った米を砕いて鴨に与えたところ、取引先から『味がおいしくなった』と評判になった。「飼料米を作り、機械を使って米を壊すことに抵抗があったが、結果、鴨の脂がおいしくて、品質的にグレードアップした」と話す。飼料米は価格が安く、作る農家は少ない。日本では、家畜の餌の74%を輸入に頼っている。輸入された餌だけで育てられた場合、国産の家畜であっても食料自給率に換算されない。食料自給率向上のため、戸別所得補償制度では、飼料米を作る田んぼも減反とみなし、0.1haあたり8万円の補償が受けられる。ただし、この補償を受けるためには、農家自らが飼料米の販売ルートを持っているのが条件。飼料米は、コシヒカリを作るのと手間が変わらず、他の転作作物を作るより、農家の負担が減る。