

2011年6月29日
種子島の沖合12kmに浮かぶ馬毛島。31年前に無人島となって以来、人の往来は途絶えたはずだったが、いま、ある企業の手によって密かに開発が進められている。山口アナウンサーが緊急取材した。
馬毛島の中心部では、トラックや重機が轟音を鳴り響かせながら、滑走路の建設が急ピッチで進んでいる。建設中の滑走路は南北に4200m、東西に2400mの2本。完成すれば、成田や関空を抜き、国内最長の滑走路となる予定だ。しかし、できるのは一般の飛行場ではない。21日、日米外務・防衛担当閣僚会合の共同文書に『アメリカ軍の空母艦載機による離着陸訓練の恒久的な施設として、馬毛島を検討対象とする』と明記された。飛行場を空母の甲板に見立て、離着陸を繰り返す訓練は、操縦士の技量を維持するためには不可欠。訓練は激しい騒音を伴うが、この訓練を待ち望む人物がいる。馬毛島を所有し、東京都内で建設会社を営む「タストン・エアポート社」の立石勲会長だ。アメリカ軍などの誘致を見込んで、滑走路の建設を進めてきた。馬毛島の99%以上を所有し、主導権を握るかに見える立石氏。しかし、この島は最初から無人島だったわけではない。かつて馬毛島に住んでいた山下六男さん(72)は、「原野から開墾鍬で一つ一つ起こして開墾した」と話す。最盛期には500人以上が住み、サトウキビ栽培や漁業で生計を立てていたという。しかし、30年前に転機が訪れた。島民から土地を買い漁り、無人島に仕立てたのは、後に不正融資で事件化する旧平和相互銀行の関連会社だった。この問題は当時、国会でも取り上げられた。結局、レジャー施設や石油備蓄基地といった目論見は頓挫し、不良債権となった緑の無人島を買い取ったのが、現在のオーナーの立石氏だった。
馬毛島はアメリカ軍の訓練場になるのか。水面下の交渉が始まっている。立石氏は「防衛省関係者が『来なかった』というと嘘になる可能性があるし、『来た』というと語弊がある」と交渉が始まっていることを示唆し、「(訓練場として)世界中探してもここしかない」と話す。在日アメリカ軍の再編計画では、厚木基地の空母艦載機を2014年までに岩国基地に移すことになっている。岩国基地から馬毛島までは約400km。28日、北沢防衛大臣は「訓練移転先として、馬毛島が極めて立地的に有効な位置にある。