

2013年3月15日
5年で19兆円とされた復興予算は、安倍政権のもと25兆円と拡大し、被災地は、復興特需に沸いているかに見える。しかし、建設関連の競争入札に誰も参加せず、工事の落札者がいない“入札不調”という事態が、被災地各地で続出している。宮城県では、復興のスピードを進めるため、毎週、入札を行っているが、そこに業者の姿はない。不調になると、価格設定を見直すなどの事務手続きが発生するため、その分、工事は遅れる。今、宮城県の入札の38%が不調、岩手県では15%、福島県で29%に及ぶ。入札不調の大きな理由は、深刻な人手不足だ。
宮城県南部にある山元町。震災で、1000棟以上の家屋が津波で流失。町の半分にあたる2913世帯が浸水した。そこで山元町では、家づくりに力を注ぎ、家を失った人が入る復興住宅を宮城県内で最初に着工。7月までに75戸を完成させる計画だ。第一陣となる4月入居には3倍近くの応募があった。建設は始まったものの、第二期工事の入札が不調。このため、全体の建設予定が大幅に遅れる可能性が出てきた。予算があっても作業員がいないという事態。宮城県全体の建設作業員の有効求人倍率は4.2倍。作業員1人を4つの会社が奪い合う形だ。沿岸部の地域では、13.59倍、28.2倍といった職種も出ている。被災地の建設会社は、全国各地から人をかき集めている。仙台市内で下水道の復旧工事をする建設会社も、静岡県や秋田県など、県外から作業員を雇ってしのいでいる。ただ、遠くから呼ぶ場合、コストの問題がある。従業員寮の維持費や光熱費は、会社側が負担しなければならない。作業員の賃金そのものも高騰していて、人件費はかさむ一方だ。こうした会社負担に国も対策は取っている。宿泊費を後から精算したり、賃金についても3カ月に1度調査して、入札の予定価格に反映させるようにした。しかし、現実は先を行っている。例えば、左官職人を雇う場合、去年10月に国が想定した日当は1万7400円。ここまでは行政側が払う。しかし、ある会社が翌11月に職人を探したところ、一日2万円を請求されたという。人出不足が人件費をつり上げ、建設会社の利益を押し下げている。このため、建設会社としては、入札できる事業に限りが出てくる。ある建設会社社長は、「終わったら赤字という公共事業もある。もっとやることは無理。結局、一升枡には二升は入らない」と話す。
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