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中学・高校と、最低でも6年間、大学まで入れると10年間も英語を勉強している日本人。しかし、TOEFLのテスト結果に基づくランキングによれば、日本はなんと51位。中国(39位)、韓国(45位)よりも下で、その英語力はアジア最低レベルなのです。英語圏以外のランキングで1位のオランダは、日本でいう小学校から英語教育を開始し、中高では日本の3倍もの授業が組まれています。また、オランダで見ることが出来るテレビはほとんど英語で、それにオランダ語の字幕が入る、という徹底ぶり。2位のドイツも、小学校から開始し、しかも耳での英語教育を徹底しているのです。こうした事実を見ても、、文法中心の「読み書き」を中心にした日本の英語教育だけでは、英語は身に付かないということを証明しているのではないでしょうか。
そもそも、英語はいつ日本に入ってきたのでしょうか。それはいまから約200年前の1808年。イギリス船フェートン号がオランダの旗を掲げて長崎へ来航。オランダ船だと思って出迎えた長崎通詞や、オランダ商館員を捕らえて、湾内を測量し燃料などを奪って去っていったフェートン号事件がきっかけです。この事件に衝撃を受けた幕府は、1809年にオランダ通詞に英語・ロシア語の学習を命じました。これが日本最初の英語学習で、明治維新の59年前のこと。その後、1848年にアメリカ人ラナルド・マクドナルドが利尻島へ上陸、長崎通詞に英語を教えました。これが英語を母国語とする初の教師です。
少しずつ英語に触れ始めた日本人の中で、実際に英語圏を訪れた一行として有名なのは勝海舟、福沢諭吉らが乗船した咸臨丸の渡米です。特に「これからはオランダ語ではなく英語の時代だ」と英語学習に力を注いでいた福沢諭吉は、現地で生の英語に触れ、大いに学んで帰ってきたそうです。ちなみに、彼のおみやげはたった1冊の辞書だったとか。それとほぼ同じ時期、日本初の和英辞典が出版されました。宣教師兼医師のジェームス・ヘップバーンによって作成されたこの辞書には、「ヘボン式」といわれる日本語の表記法が使用されていました。それがローマ字だったのです。
ローマ字は、GHQによって漢字に代わる日本語の表記法として定着されそうになりました。実はGHQは、漢字などの難しい日本語が、民主化を阻害していると思っていたのです。しかし、全国20カ所で、15歳〜65歳までの2万人を選んでGHQが行った日本語テストの結果、日本人はアメリカ人よりもはるかに識字率が優れていることがわかりました。この結果を受けて、GHQは日本語のローマ字化を中止したのです。「こんなに識字率が高い日本人に英語を学ばせたら、すぐに覚えてしまって、また自信をつけてしまう…それを恐れたGHQが、英語教育を読み書き中心にした」とデーブ・スペクター氏は指摘していますが、果たして真相は?
現在日本では、アジア最低レベルの英語力を打破するために、新しい教育制度を取り入れようという動きがあります。小学校では、「総合的学習」という名目で、英語に接する時間が持たれるようになり、ALT(=外国語指導助手)と呼ばれるネイティブの人々が、歌やゲームなど、小さな子どもにもわかる形で英語と触れ合う活動を行っています。中学・高校では、特に英語教育に力を入れる学校を「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)」に指定し、国から補助金を出す制度もあります。こうした学校では、英語の授業数が多いだけでなく、英語以外の一部の授業などもすべて英語にするなど、実践的な方向へと進んでいるのです。さらに、政府の構造改革特区制度を利用し、小・中・高一貫で「ほとんどすべての授業を英語のみで行う」私立学校も2005年に開校する予定です。
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