世界の車窓から

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ポルトガル編 撮影日記

リスボン・ロシオ駅に停車中の列車
温かさでつながる鉄道の旅
世界の車窓からは、1987年の6月に放送が始まった。私自身小さい頃からよく見ていた番組なので、今回ADとして初めて取材に行くことになり、期待と不安が入り交じる、何とも不思議な気分だった。実は、海外の鉄道に乗るのも初めてなので、新鮮な目線で感じたことを伝えていけたらと思う。
今回の旅は初めに、リスボン・ロシオ駅から、世界遺産の街、シントラ行きの近郊列車に乗車した。荷物を列車に積み込んだあと、まだ出発まで時間はあったので、構内を撮影することに。列車から降り、意気揚々と撮影し始めてつかの間、突然ドアが閉まりだした。まだ、出発までは時間があるはずなのにと思いつつ駆け足で戻ったが、一歩及ばずドアは閉まってしまった。乗り遅れた!と思い、あたふたしていると、隣にいた地元の人らしき男性が、ドアの横にあるボタンを押してくれた。するとドアは再び開き、無事に乗車することができた。
ポルトガルでは、出発前であってもドアが自動で閉まることが多いようだ。日本のように、出発までドアを全開で待ってくれる列車はほとんどない。一度閉まってしまっても、焦らずボタンを押せば何の問題もないよう。ちなみに列車から降りる際も、自分でドアを開けることが多いので、駅に着いたら、ボタンを押したり、レバーを引っ張り、ドアを開けなければならない。
その後、その男性に「オブリガード」と言うと、笑顔で返してくれた。「オブリガード」とは「ありがとう」の意で、今回の旅で最も使用したポルトガル語だ。買い物をしたとき、ホテルでお世話になった時、基本的にこの言葉で会話は締められる。日本ではついつい「すいません」と言ってしまいがちだが、「ありがとう」で会話を終えると、とても気持ちがいい。ポルトガル人の温かさに触れながら、列車の旅は続いていくのであった。
アシスタント・ディレクター 白石 竜太
シントラへ向かう列車
リスボンのシンボル4月25日橋