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 いまや、世界的に知られてることになったあの島津製作所も京都にあります。島津製作所――明治8年、創業者・島津源蔵が京都木屋町で、教育用の理化学器械の製造を始めたのがそのルーツ。その後、人を乗せた軽気球の飛行や蓄電池の製造、我が国初の医療用X線写真撮影に成功するなど輝かしい功績を挙げ、2代目・島津源蔵は昭和5年、日本十大発明家のひとりとして天皇陛下が主催する食事会に招待されています。そして現在も、バイオテクノロジー、航空宇宙機器、医療用機器など幅広い分野の開発と製造を行っているのです。昨年、同社の主任である田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞。高分子のタンパク質を壊さずに分析するための、画期的な薬を開発したことが評価されたのでした。島津製作所を後に、一行を乗せたバスは今出川通りを東へ向かいました。
 京都市内を南北に流れる、鴨川。京都北区の岩清水を源流とし、果ては淀川へと合流し大阪湾へと流れ着く――そんな鴨川の夏の風物詩といえば、納涼床。夕涼みに川を眺めつつ、京料理に舌鼓を打つ…この納涼床の歴史は古く、豊臣時代、つまり今から400年以上も前に、来客をもてなすため五条河原の浅瀬に腰掛けの台を置いたのがはじまりといわれています。夕暮れになると、川原にカップルが等間隔で座ることでも有名な、この鴨川。京都の恋人達は必ず一度はここで愛を語らい、甘い口付けを交わすとか…。

 京都の8月の暑さは日本一。最高気温の平均は実に32.9℃。三方を山に囲まれた京都は、盆地のため熱気がたまりやすく、海風の影響を受けないことが、猛暑の原因となっているのです。その一方で、京都は冬の寒さも厳しい土地。データ的にみれば、奈良や姫路の方が最低気温は低いものの、「底冷え」といわれるその寒さは、京都盆地を囲む山々から吹き降ろされる風の影響であるとされています。夏は暑く、冬は寒い…それが京都の気候なのです。

 北野天満宮――平安時代、学者であり時の右大臣であった菅原道真が、政治闘争に敗れて九州の大宰府に左遷され、不遇の死を遂げました。その直後から、落雷や地震、洪水など、京都の街に天変地異が多発。これは道真公の怨霊が引き起こした災いに違いない――人々はそう信じ、その霊を鎮めるため、道真公を祀ったのが始まりとされています。2万坪の境内には、道真がこよなく愛したと言われる梅が、50種類約2000本植えられており、2月から3月にかけて、薫り高く咲き乱れます。また北野天満宮は、東京の湯島天神や九州の大宰府天満宮とならび、学問の神様としても有名。毎年多くの受験生が合格祈願に訪れているのです。

 バスが通過したのは、京都を代表する花街・祇園。祇園は四条通の東の果てにある八坂神社の門前に開けた茶屋町です。八坂神社は、京都に都が置かれる150年も前から、この地域に祭られた古い神社で、毎年7月17日になると、この社の前を、祇園祭の山鉾が絢爛豪華に巡行していく様を堪能することが出来ます。祇園には、忠臣蔵で有名な、大石内蔵之助が通っていた一力亭(いちりき)など、歴史と格式のあるお茶屋がいまも軒を連ね、その数実に89件。そこに、およそ250名にもおよぶ芸妓さんや舞妓さんが連日出入りしています。芸妓と舞妓――その違いはキャリアの差。舞妓とは、基本的に、芸妓さんになるための修行期間で、通常5~6年で昇格します。お座敷では、芸妓が歌や三味線を担当し、舞妓が舞いを担当。また、芸妓と舞妓とでは、髪型や帯の種類も異なり、舞妓は自分の髪で結い上げるますが、芸妓はカツラを被るのが一般的です。
 清水寺は、京都の代表的な名所のひとつで、毎年350万人の観光客が訪れます。「清水の舞台」と呼ばれる本堂があまりにも有名。また、寺の名前の由来にもなっている、音羽の滝を流れる清水は「延命水」とも呼ばれ、参拝者が列をなしてこの水を飲み、身を清めるのです。清水寺は西国三十三所のひとつ。西国三十三所とは、西日本に点在した観音菩薩を本尊とする寺院で、これらをひとつひとつ巡礼する仏道修行が、古くから民間の信者にも親しまれてきました。そのスタイルは、白装束と金剛杖と呼ばれる杖。こうした巡礼には、西国三十三所の他に、「お遍路さん」と呼ばれる四国八十八ヶ所なども有名です。一行はバスを降り、清水寺の山門を目指しました。

 山門へと続く清水坂には、京都ならではの土産・漬物店がおよそ65軒。また、清水寺を発祥の地とする伝統工芸、清水焼の陶器屋が軒を連ねています。そして坂を登りきり、いよいよ清水寺の敷地へと足を踏み入れました。

 清水寺では、毎年春の桜の季節と秋の紅葉の季節になると、夜の特別拝観が行われます。ライトアップされた三重の塔の美しさはまさに筆舌に尽くしがたいものです。境内には他に、釈迦堂や阿弥陀堂など15の重要文化財が点在し、奥乃院の本尊である千手観音が、現在243年ぶりに一般公開されています。清水寺の境内からは京都市内が一望出来ます。高層ビルがないせいか、中央の京都タワーがひときわ目立って見えます。そして一行は本堂へ。有名な清水の舞台がいよいよ目前に迫ります。しかし、国宝である本堂内部での撮影は許可されていないのです!

 国宝に指定された清水寺の本堂は、横幅36m、高さ18m。正面にある舞台は、切り立った崖に何本もの柱を立て、釘などの金具を一切使わずに、木材だけで組み上げられています。思い切った決断を下すときに用いられる「清水の舞台から飛び下りるつもりで…」という例え。実はその昔、本当に飛び降りる人がたくさんいたとか。願をかけて飛び降り、命が助かれば願いが叶い、もし死んでも成仏できる――そんな言い伝えが広まり、江戸時代には、150年間で何と230件以上も飛び降りがあったというのです。そのブームは、明治時代になって、政府が「飛び降り禁止令」を出して、ようやく収まったというほど…。本堂脇の階段を降りると、そこには音羽の滝があります。この滝の水こそが清水寺の名前の由来で、金色水とも延命水とも呼ばれ、日本の十大名水の筆頭に挙げられています。向かって左の水が学問、中央が縁結び、右が長寿にそれぞれご利益があると、ちまたではいわれています。ライトアップされた桜、そして夜の清水寺を楽しむツアー参加者達。ここで香取編集長が参加者のひとりに話を聞きました。

 香取編集長がお話を聞いたのは、アメリカから来たマイク・ベレリンさん。彼がテキサス出身だと知った編集長が「ブッシュ大統領!」と言うと、「ああ、彼は…強い大統領だ 」とちょっぴり険しい表情を。どうやら彼はブッシュ大統領を支持していないようです。そんなマイクさんに京都の印象を聞くと、「日本の文化はとても独特です。テキサス出身の私にはとても興味深いです」とおっしゃっていました。

 バスは鴨川に架けられた御池橋を通過。鴨川を横切る橋として有名なのは、五条大橋。 かつて、牛若丸が弁慶を打ち負かしたとされるこの橋。そのたもとには現在、ふたりの戦いを再現した像が立てられています。この五条大橋から約1km北に架けられているのが、四条大橋。この橋は、江戸時代の初め、出雲の阿国が始めて歌舞伎を舞ったと伝えられる、歌舞伎発祥の地。橋の東側には、その当時から興行を行っていたという劇場・南座があり、歌舞伎や新喜劇を見に来る観客で日々にぎわっています。四条大橋の一本北に架けられたのが、三条大橋。ここは古くから東国との行き来をする玄関口であり、交通の要所として栄えました。それは浮世絵「東海道五十三次」にも描かれています。また、付近の三条河原は、かつては処刑された生首がさらされた血生臭い場所でもありました。この三条大橋を渡った北西部には、江戸時代に多くの大名屋敷がひしめいていました。幕末に頭角を現した長州藩の藩邸もそのひとつで、こんな人物の拠点でもありました。江守さん演じる長州藩の雄、桂小五郎や坂本竜馬など、数多くの幕末の志士たちが、この界隈を闊歩したのでです。

 ツアー最後の締めくくりは「京都タワー」。京都のランドマークのひとつで、その高さは131m。しかし1964年の建設当時は、京都の景観を壊すとして、住民から猛反発を受けたということです。このタワーの形は、ロウソクをイメージしたものだと一般にいわれていますが、実は都会に建てられた「灯台」が本来のイメージなのです。こうして13カ国30人の外国人たちと共に参加したベーシック京都ツアーは終了。アメリカ、ロシア、カナダ、イスラエル…今回のツアー参加者は暮らす国はさまざまでしたが、お参りした時、彼らが願ったのは「世界平和」でした。編集長は、ひとりひとりと握手をかわし、参加者たちとお別れしました。ニッポンを知ろう、ベーシック京都ツアー――。それは、これまで知らなかった京都、そして日本を体験する貴重な旅でした。
――京都編は今回がラストでしたが…。
 キレイでしたねぇ、清水寺。舞台の上から下を見たときの夜桜が凄かった!時期的にちょうどいい、っていうのもあったけど、ホント良かった。後は祇園に連れてってもらって(笑)。

――おすぎさんが「連れて行く」って約束してくれましたしね。
 そうそう。遊ばないとね(笑)。

――HPを見ても、今回の「外国人と行くベーシック京都ツアー」は大好評ですが…。
 ボクと同じような気持ちの人がいっぱいいてくれたのは嬉しかったですね。「SmaSTATION-2の京都、おもしろいね」って友達にも言われたんだけど、いま改めて日本を見直してみて、「キレイだな」って思えるってことは…ボクの気持ちの中ってことだけじゃなく、いろんな世界の状況とか、いまの日本、っていうところから、こういう場所を見直すっていうのは凄くいいことかもしれないな、って思うんですよ。ホント、好きになったし。あと、単純に、日本っていうものに対しての気持ちがどんどん盛り上がっていて、ボクの趣味のサッカー…ワールドカップがあり、日本代表をみんなで応援しよう、というのとかも、京都に行ったことで、「あんなキレイなものがある日本っていうところでサッカー選手のトップが集まった日本代表っていうチームに頑張ってほしいな」っていう気持ちにもなったし。オリンピックの予選もあるからね(笑)。

――VTRの最後で、ツアーに参加した外国人の方々がみんな「世界平和」を祈ったっていうところも印象的でしたね。
 お祈りをした時に、ボクだけですよね。自分のこと考えて、「しっかり痩せられますように」って祈ろうとしたのは(笑)。もちろん、思い直してちゃんと「世界平和」を祈ったけど(笑)。
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