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中高年の女性から女子高生まで、年間約100万件の「美容整形治療」が行われています。もともと皮膚の縫合術や組織の移植術などを行う「形成外科」から独立した「美容整形外科」。ところが、最近の需要の急増でこの業界に次々に他の診療科から医者が流れ込んでいるのです…。 |
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美容整形手術といっても様々な種類がありますが、簡単に出来るダイエットとして、よく用いられる手術方法が「脂肪吸引手術」。脂肪が気になる箇所の皮膚に数ミリの穴をあけ、そこにストロー状の細いステンレスの管を挿入し、体内から無駄な脂肪分を直接吸い出す外科手術のことです。「脂肪吸引」は'70年代後半にヨーロッパで確立され、日本に導入された技術。費用は手術箇所によってばらつきがありますが、最低でも30万円程度! 高いと100万円にもなると言われています。10代~40代まで幅広い年齢層の女性が手術を受けているようですが、その多くは、簡単・確実に痩せられる「軽いエステ感覚」で訪れる人がほとんどで、夫や親に内緒で、病院を訪れる患者が多いといいます。しかし実際には、この手術によって死亡したり、瀕死の重傷を負ったケースもあるのです。他にも、麻酔の失敗や術後ケアの欠落などで、これまで美容外科手術を受けた患者が10名以上死亡しているというデータもあります。では、事故が多い理由とは?
(1)専門知識を持たない医師が多い
(2)資格や免許が必要ない
(3)儲かるので、質の悪い医師が増える
などが挙げられます。現実に、他の診療科から美容外科医に変わる医師が増加しているようですが、そのひとつの要因が、やはり収入面。インターネットにある医師の求人広告によると、経験5年の美容外科医の年収は4000万円。経験10年以上だと6000万円。未経験でも2000万円となっています。 |
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一方、美容外科の最先端を行くアメリカの医療システムは、日本とどう違うのでしょうか。
年間850万件の美容整形手術が行われているというアメリカには、「米国美容形成外科学会」という団体が組織されています。そこでは医師免許取得後、最低でも7年(一般外科:5年 形成外科:2年)の現場研修を義務づけた上に、超難関の専門試験をクリアして初めて、美容外科医としての施術を認めています。つまり、美容外科医になることは、医師の中でもかなりハードルが高いことなのです。アメリカでは、インフォームドコンセントが徹底されており、手術に先立ち医師と患者のコミュニケーションが十分に行われています。
日米の決定的な違いは、カウンセリング。アメリカでは、できる範囲や限界、安全性やリスクなどをすべて説明します。手術が成功したにもかかわらず、手術後に患者から「私はこんな顔にしてほしかったのではない」というクレームがくる可能性もあります。そんなトラブルを未然に避ける為にも手術前のカウンセリングが最も大切なのです。カウンセリングで良いことしか言わない病院、すぐ手術をするなどというところは避けた方がいいでしょう。 |
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アメリカでは「美容整形の未来」も予測されています。
未来予測(1):「魔法の薬を開発!」
現在脚光を浴びている、薬品の投与によるシワ伸ばし治療「ボトックス」。つまりメスを入れない手法が注目を集めていますが、こういった新薬の開発もますます進み、手術の必要がほとんど無くなると予測されています。
未来予測(2):「クローンからの移植!」
今後技術の向上が最も注目されるのは移植の分野。クローンや死体などからも移植手術が可能になるだろうとさえいわれているのです。
美容整形における環境整備や研究が加速的に進むアメ
リカに、一体いつ日本の美容医療現場は追いつくことができるのでしょうか。 |
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最近は「大きくメスを入れない」「注射でOK」などのプチ整形と呼ばれるモノも流行っていますが、手軽で簡単だから100%安全という保証は何もありません。体の中に薬剤を入れたり、皮膚に影響を与えるなどの医療行為を伴うわけですから、何らかの危険性が伴います。ですから、普通の医療と同じようにインフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンが大切なのです。また、美容整形というのは、「美しくなる」というゴールの多くが主観に拠るものですから、普通の医療以上に難しい部分があります。審美観は人それぞれですし、完成したものが必ずしも自分の思い描いていたものと一致するというわけではありません。そこで大切なのがコンサルティング。これは、結果と自分のやりたい方向を一致させるためにドクターと話し合うことです。“この人になら自分の思い描く美を実現してくれる”と思えるようになるのは、じっくりとコンサルティングをしたあと。ですから、時間をかけてドクターと十分な話し合いをして下さい。危険性をきちんと説明し、コンサルティングを惜しまない――そんなドクターを、僕はオススメします。 |
(写真家/医療ジャーナリスト 伊藤隼也氏・談) |
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