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スマステーション特別企画『本当に地球が危ない!第2弾 〜地球温暖化・人類最大の危機〜』
来年公開のドキュメンタリー映画「不都合な真実」。この中で元アメリカ大統領候補であり、副大統領も務めたアル・ゴア氏が、地球温暖化が引き起こす人類滅亡のシナリオを世界に向けて警告しています。「元副大統領のアル・ゴアです。北極の氷は急速に溶け出し、やがて海面は6m上昇します。フロリダは水没し、犠牲者は上海で4000万人、カルカッタで6000万人、世界貿易センター跡地も海の底です。難民の数はやがて1億人に達するでしょう。我々人類は、絶滅の危機にあるのです」。アメリカでは、この映画が公開されるやいなや、各地で「地球温暖化について考える会」が開かれたり、「この映画を見るように!」と社員のためにチケットを大量購入する会社が続出。先日の中間選挙でも、『環境問題』が大きな争点となりました。そんな中で、フランスが誇るあのファッションブランドや、世界屈指の自動車メーカーが取り組んでいる環境対策にスポットを当てました。
アイドリングストップの有効性は?

地球温暖化が急速に進んでしまった元凶が『二酸化炭素』。工場や火力発電所から排煙、自動車の排気ガス・・・こうした人間社会の営みが、地球上の二酸化炭素を急激に増加させ、皮肉にも人類を滅亡の恐怖に陥れているのです。では、なぜ、二酸化炭素が増えると地球の温度が上がってしまうのでしょうか。それは、二酸化炭素が増加すると、『温室効果』という現象が起こるためです。太陽光線によって暖められた地表の熱が外に逃げようとすると、二酸化炭素の層がちょうどビニールハウスのビニールの役目を果たし、熱を外に逃がさないため、地球が暑くなってしまうのです。二酸化炭素の排出量で一番多いものが、工場や火力発電所などから出る大量の排煙。そして2番目に多いのが、トラックや自動車の排気ガスです。前回の特集でも紹介したようにエコ先進国・スウェーデンでは、駐停車中のアイドリングは1分以上で道路交通法違反となり、年収の0.1%の罰金が課せられます。停車中でもエンジンを切ってなければ、排気ガス…つまり、二酸化炭素を排出し続けていることになるからです。他にもフィンランド、デンマーク、ドイツ、スイスなどの国で同じように停車中のアイドリングに罰金を課しています。特に厳しいのはスイスで、信号待ちでも3台目以降の車はエンジンを止めなくてはならないのです。
日本でも、東京をはじめ、多くの都市で条例によって、駐停車中のアイドリングが禁止されています。しかし、これらの条例はあくまでも努力目標であって、道路交通法で罰金が定められているわけではありません。では、実際我々は、一日にどれぐらいアイドリングをしているのでしょうか?
SmaSTATIONスタッフが、朝の通勤ラッシュ時に中目黒から六本木のテレビ朝日まで6.2キロの道のりを運転。信号で停車するたびにストップウォッチでアイドリングしている秒数をカウントしてみました。途中、信号待ちの回数は9回。朝の通勤ラッシュ時ということもあって、中目黒から六本木まで、約25分かかりました。そのうち、信号待ちでアイドリングしていた時間は合計13分にまで達したのです。ちなみに、もし東京都内に登録されているすべての自動車がアイドリングを毎日10分間ずつ短縮したとすれば、1年間で約13万トン、体積にして牛乳パック650億本もの二酸化炭素が削減可能となります。これは火力発電所が1ヵ月に排出する二酸化炭素の量に匹敵するのです。しかし、ここで疑問がひとつ。エンジンの再始動には、アイドリング以上に多くの燃費を消費し、より多くの排気ガスを放出してしまうのでは?

省エネセンター谷口部長
「エンジンを始動するときには燃料消費量が一瞬多くなりますが、この消費量とアイドリングストップ時に削減される消費量と同じになる時間は、一般におおよそ5秒です。したがって、5秒以上のアイドリングストップで省エネになるのです。」


ルイ・ヴィトン社の取り組み

そんな中、フランスが誇るあの一大ブランド、ルイ・ヴィトンでは、1992年、「環境部門」という部署を設置。この部署では会社内の二酸化炭素排出量調査などを実施して対策に取り組んできました。環境部門に取り組んでいる工業部長のエマニュエル・マチューさんは当時をこう振り返ります。

「ファッション製品は比較的、原材料や熱エネルギーの使用量が少ないと言われてきたけど、実際に調べてみると、やるべきことが多いことがわかりました。」


活動別のCO2排出量では、「製品の配送」が最も多くて37%、続いて「従業員の移動」が12%。そのため、革製品の50%を空輸から環境負荷の低い船便に切り替え、従業員ひとり当たりのガス排出割当量を定め、出張はなるべく減らし、車での通勤も何人かでの相乗りを実施。さらに、工場からショップまでの輸送で製品を傷付けないように、ひとつずつ薄紙で包み、ダンボール箱に入れていましたが、使い捨てのダンボール箱をやめ、使いまわし可能なフェルトの布に変更したのです。さらに、ルイ・ヴィトンでは、昨年、社員向け教育ツールとして“環境クイズカード”を作成。ことしは“地球温暖化測定定規”を開発しました。

環境に優しいビールメーカーに全米が注目!

アメリカでは、環境にやさしいビールが注目されています。コロラド州に本社を置くニュー・ベルジアン・ブルワリー社は、世界で初めて100%風力発電を利用したビール醸造会社なのです。もともとビール醸造にはたくさんの電力を使っていましたが、1999年から、従業員の意志により、CO2排出を最小化するため風力発電からの電力を購入することにしたのです。それだけでなく、ビールを配送するトラックも、醸造カスを発酵させて作ったバイオガスで走っているのです。そして、工場のエネルギー消費状況を監視するためだけの部署を設置し、「外光を工場内に導いて照明に使う」「冬には外気を保冷に利用する」などの指導を行い、CO2削減に努めています。さらに、従業員全員に自転車がプレゼントされ、3分の1はその自転車で通勤しているのです。この会社は、風力に転換してから消費者に注目され、売り上げも急上昇。ついには全米のクラフト・ビール業界第3位にまで成長し、環境にやさしいエコ企業の成功例として注目を浴びています。

ハリウッドスターのトレンドとなった「トヨタ・プリウス」

同じく風力で電力をまかなっているという変わったタクシーが京都にありました。そのタクシー会社が『エコロ21』。注目は、屋根についている風車。走行時に発生する風力を利用し、車両に使われる発光ダイオード約300個と、携帯電話の充電サービスを自前の電気で賄うことができるのです。さらに、このタクシー、交差点などの信号待ちでもギアーがニュートラルに入ると、自動的にエンジンを停止。創業以来、一貫してアイドリング・ストップ機能付き特別仕様車を全車に導入し、2割を超えるCO2の削減を実践してきました。
そんな排気ガス問題を抜本的に解決してくれるかも知れない車があります。2003年アカデミー賞授賞式。この年、アカデミー主演男優賞最有力といわれたレオナルド・デュカプリオが自ら運転して乗ってきたのは1台の日本車でした。それが「トヨタ・プリウス」です。プリウスとは、二酸化炭素の排出量を通常の車の半分以下にまで削減することに成功した、環境にやさしい画期的な『ハイブリッド・カー』です。【ハイブリッド】とは「2つのものを組み合わせる」という意味。つまり、ハイブリッドカーとは、ガソリンエンジンと電気モーターのふたつを搭載した車という意味です。実際、ハイブリッド・カーは、どのようにして走るのでしょうか?

(1) まず、スイッチを押すと、バッテリーからの電力で電気モーターが作動。次にアクセルを踏むと、電気モーターによって普通の車より素早く動き出します。しかし、エンジンは動いてないため、全く音を立てないのです。
(2) さらに車が速度を上げていくと自動的にエンジンが作動。エンジンは直接、車輪を動かすと同時に、発電機で電気エネルギーに変えられ、電気モーターを動かします。エンジンと電気モーターというふたつの動力を使い、最も燃費のいい走りを考えながら走行するのです。
(3) ブレーキをかける時に発生するエネルギーは、電力としてバッテリーに蓄えられます。そのため、ハイブリッドカーは電源から充電する必要はないのです。
(4) そして、停車すると、エンジンもモーターも自動的にストップ。アイドリングによる無駄な燃料消費をなくし、二酸化炭素も排出されません。

さらに走行中には、ワイドディスプレイなどで、現在、エンジンと電気モーターのどちらを使って運転しているか、過去30分の燃料消費――二酸化炭素の排出量も確認できるようになっており、より地球に優しい走りが追求できるようになっているのです。
いまでこそ、世界的な発明と賞賛されるハイブリッドカーですが、その誕生までの道のりは平坦ではありませんでした。1995年、東京モーターショーでトヨタはプリウスという名前のハイブリッド・カーを未来の車とし展示しました。しかし、当時は、誰しもが、ハイブリッドカーは展示用の車、環境問題に対するトヨタの広告塔だと思っていたのです。しかし、トヨタは本気でした。2003年、プリウスがアメリカに上陸すると、翌年には、北米、そしてヨーロッパでカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。日本車としては初の快挙でした。プリウスの購入を決めた俳優・アレック・ボールドウィンはこう話しています。

アレック・ボールドウィン:
「誰も僕がプリウスを運転してるなんて思わないから、好都合だよ!」
キャスター:
「ロサンゼルスでは、乗っている車で人を判断する町です。
 で、その小さな車に乗っているあなたは誰なんでしょう?」
アレック・ボールドウィン:
「将来を見通せる天才だよ。かなり先まで見える天才だね・・・」


プリウスを購入したハリウッドスターは、ブラッド・ピット、トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツなど。地球に優しいプリウスは、環境問題に関心の高いハリウッドスターたちの間でトレンドとなったのです。この現象は、一般市民にも、高級車からプリウスに乗り換えることがカッコいい、という新しい価値観を植えつけることに成功しました。トヨタはプリウスのほかにも、エスティマ、ハリアーなどでもハイブリッド方式を追加。今後は、ハイブリッドを10車種にまで増やし、2010年ごろにはハイブリッド車の販売台数を100万台にするという目標を掲げています。
そんな中、ニューヨークのブルームバーグ市長は、昨年、新規参入タクシーのうち、8割以上は、ハイブリッドカーとするように指示を出しました。現在では、316台のハイブリッド・イエローキャブがニューヨークの街を走っているのです。日本でも、管直人、黒柳徹子といった人たちがプリウスに乗っています。また、日本政府もすすんでハイブリッド車を購入。参議院と衆議院の官用車245台のうち、実に239台がプリウスなどのハイブリッド車となっているのです。

大切なのは、ひとりひとりの取り組み

二酸化炭素を増やす原因のひとつにあげられるのが、森林伐採。二酸化炭素を吸収し、酸素を排出する森林を伐採するということは、人類にとってまさに自殺行為なのです。現在、世界では1秒間にサッカーグランド一面分の森林が減り続けているといわれています。伐採した木材の主な使用用途が「紙」。紙は森林伐採を促進させるだけではなく、ゴミとして燃やされたときに大量のCO2を排出するのです。そんな中、Jリーグの横浜Fマリノスの本拠地・日産スタジアムでは、こんな地球温暖化対策が・・・。試合終了とともに、この競技場では他の競技場とはちょっと違う光景が見られます。試合が終わった後、サポーターたちは、自分が飲んだ飲み物の容器を返却しているのです。日産スタジアムでは、使い捨ての紙コップを全て廃止し、再利用可能なプラスチック製カップを採用しています。回収したカップは、洗浄、消毒、乾燥させ、50回再利用できます。このシステムを導入したことで、1年間で紙コップ約23万5000個、可燃ごみ約3.5トンが減ったことになり、CO2排出量に換算すると、約16トン削減したことになります。
そんな中、地球温暖化防止を目指す第2回京都議定書締約国会議が、先週月曜、ケニアの首都ナイロビで始まりました。各国のCO2の削減目標の中間報告に基づき、京都議定書の見直しが議論されたのです。主要先進国26カ国で議定書を批准、つまり議定書にのっとるという手続きをした22カ国のうち、2004年時点で国別削減目標に達したのは14.3%減らしたイギリス、3.5%減らしたスウェーデンなどの4カ国だけ。日本の排出量は13億5500万トンで、6%減らすという目標に届かないばかりか、逆に6.5%も増やしてしまったのです。京都議定書のホスト国としての日本の面目は丸つぶれです。ちなみに、京都議定書を批准していないアメリカの排出量は15.8%も増えていました。
地球は刻々と壊れ始めています。では、我々ひとりひとりが地球温暖化防止のためにできることとは何なのでしょうか?日本での家庭からのCO2排出量は、全体の21%にもあたります。前回の特集では、家庭で出来る温暖化対策をいくつか紹介しました。

『冷房の設定温度を28℃、暖房は20℃にする』
『1分以上停車する時はエンジンを切る。』
『分別をきちんとする』
『レジ袋をもらわないで、自分のバッグを使う』
『シャンプー中、こまめにシャワーを止める』

ひとりがこれらを守るだけでも、1年で実に220kgもの二酸化炭素の排出を食い止め、日本国民全員が実行すれば、京都議定書の目標数値マイナス6%も達成できるのです。


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