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「まさや」という男。僕の相棒。
高校で知り合った。友達になった。
同じクラス。違う部活。
女子36人、男子6人「普通科国際系」という特殊なクラスだった。
面白かった授業、つまらなかった授業、好きな先生、苦手な先生、多分同じ。
互いに、好きになった女の子の名前を言い合える。
告白の文面まで知っている。
互いの、恋実ったガッツポーズと、恋失った涙を、知っている。
高校3年。「蛙泣く田んぼに囲まれた教室から、東京へ」2人東京を目指した。
辛くも、早稲田大学に合格した「僕」。
惜しくも、早稲田大学に不合格だった「相棒」。
「追いかける」僕の卒業アルバムに相棒はそう書いた。
1年後、「野上先輩、早稲田でお世話になります」なんていう連絡。嬉しかった。
先輩ぶる僕。後輩ぶる相棒。
高田馬場・早稲田で、高校時代の続きが始まった。
僕がアナウンサーに内定した時のこと。
相棒は「しんぺーは誇りだよ」なんてオーバーなリアクション。似合わない。
バカなのにたまに真面目。真っ直ぐ。心地がいい。
ベトナムに10日間「内定お祝い旅行」に行った。2人とも旅が好き。 |
相棒とこういう写真を撮ることは少ない。旅ならでは。
ベトナム・フエ駅前にて。 |
バックパック。電車の旅。ビールと音楽とバイクと岡山弁。
21歳。出会って7年目。
忘れもしない。旅行最終日。
ベトナム・ホーチミン・ベンタイン市場・・・で、大喧嘩した。
原因は・・・ |
市場で出会ったベトナム人女性 |
原因の詳細を書くのは恥ずかしい。やめておこう。割愛。
喧嘩したその晩、2人の熱くなった気持ちは、ビールで冷ますしかなかった。
吐くまで飲んだ。市場の屋台の店員に、相当迷惑をかけてしまった。
たぶん店員には「もうやめておけば」と言われた。相棒は、何故か泣いていた。
忘れられない旅になった。 |
帰国後。最後は仲良く高田馬場駅にて。
照れなんてない。 |
2008年4月。1年遅れて、相棒も社会人になった。
相棒も、東京に本社がある企業への就職が決まった。
「東京で働く」あの時語った2人の夢は叶った。
しかし、5月。衝撃。
相棒の転勤が決まった。
転勤先は・・・なんと・・・
岡山。
5月5日。「最後の飲み」を行った。新宿。高田馬場ではない。「JAZZ BAR」 |
2ショット |
この日、北海道からの出張帰りだった。
空港に置いてあったTシャツをお土産に買った。
なんとなく、お揃いにしてみた。 |
‘脱走’の横に、小さな文字で書かれてある言葉に惹かれた。 |
「前へ前へ 道を貫け 切り拓け
男は遮二無二 全力疾走」
「岡山に帰る」ではなく、「岡山に行ってくる」と言った相棒。
故郷が大好きな相棒が、敢えてそう言った。それだけでもう十分だった。 |
飲む。素敵な夜。 ちょっときつい・・・。 |
午前3時。
帰ろうかという時、店のマスターが最後に僕らの為に音楽を選んでくれた。
その曲が、この日の全てだった。 |
笑って何でも聞いてくれる。JAZZ好きのマスター。 |
音のボリュームが上がった。
ピアノの音が聴こえた。ウッドベースが響いた。
「Friends Forever」
曲のタイトル。
「お前らそのままでいろよ」
そう話したマスターの声が、力強かった。
店内を包んだメロディーが、優しかった。
僕と相棒は、たぶん、涙をこらえていた。
僕が覚えているのは、これでほとんど。
相棒は、故郷岡山へ「旅立つ」
僕は相棒に「またな」と言った。
では、清水アナウンサーにバトンタッチ!!
教えて、あなたの相棒!!
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