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2009年10月28日

見逃される事件も・・・「縦割り」行政と不足する「解剖医」

見逃される事件も・・・「縦割り」行政と不足する「解剖医」

殺人事件などの事件捜査の過程で行われる「司法解剖」。当初は事故死と思われたものが、解剖によって殺人事件であることが明らかになった例も少なくない。
連日、警察から司法解剖の依頼が飛び込む千葉大学の法医学教室。ここでは、年間200体の遺体が解剖される。しかし、日本では年間約16万体の変死体が見つかるが、そのうち事件性を疑って司法解剖されるのは、わずか3.9%、6000体余りに過ぎない。当然、事件を見逃す危険性もある。実際に、埋もれかけた事件があった。

2006年、千葉県の国有林で、近くに住む70代の女性が遺体で見つかった。遺体には小さな傷跡しか残っておらず、警察は当初、猪に襲われたと見ていたが、CTを使って断層撮影をし、遺体を調べたところ、頭の中に銃弾らしき金属片が写っていた。解剖してみると、中から散弾銃の弾が出てきて、捜査が進んだ。警察は、猟師の男を業務上過失致死の疑いで逮捕した。男は「猿と間違えて撃ってしまった。怖くなって通報せずに、その場から逃げた」と罪を認めた。

千葉大学大学院法医学教室の岩瀬博太郎教授は「多くは病死と適当に病名をつけられて終わらせているが、中には、実際に人に殺されている人がいる。見逃しというのが一番怖い」と話す。現在、解剖に携わる医師は少ない。全国に80ある法医学教室で、常勤の解剖医は平均わずか1.8人。しかも減る傾向にある。国立大学の予算や人員削減の流れは2004年の法人化以降、加速している。当然、法医学教室も例外ではない。岩瀬教授は、現状を改善するために関係先に手紙で訴えたが、「どこも責任を取らないという雰囲気。究極の縦割りを感じた」という。
死体の解剖は、解剖を許可する法務省、解剖を委託する警察庁、解剖する大学を所管する文部科学省、そして解剖する医師を所管する厚生労働省と4つの省庁に権限がまたがっている。さらに、犯罪性は低いと判断されたケースで、各自治体が依頼をする行政解剖もある。複数の役所が関係していることが、“解剖”というシステムに関する責任の所在をあいまいにしているという。

21人が死亡したパロマ・ガス湯沸かし器の一酸化炭素中毒死事件では、被害者の一人、山根敦さん(当時21)の解剖結果がおざなりにされていた。

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