

2011年12月16日
岩手県陸前高田市の復興を継続して取材するシリーズ『復興を見つめて』。2011年夏、陸前高田市では、復興計画の検討が始まっていた。最大の焦点は、新たな防潮堤の造成と住民たちの高台移転についてだ。被災世帯は、中心部の高田町だけで約2000。その全てが高台に移住することは、地形的にも不可能だと市は考えていた。
陸前高田市を襲った津波の高さは、海岸付近で13.8m。市は、浸水した区域にも街を造るため、15mの防潮堤を県や国に求めていた。しかし、県が9月に発表した防潮堤の高さは12.5m。岩手県河川課の冬川修河川海岸担当課長は「環境、景観面、その後の防潮堤の維持管理を含む経済面を考えると、15mは現実的ではない。頻度の高い津波に対して、防潮堤の高さを設定する」と話す。12.5mの防潮堤に、今回と同じ高さの津波が来た場合、かつての市街地の大部分が浸水するとされている。そこで考え出されたのが、地盤を“かさ上げ”する計画だ。計画案では、防潮堤を12.5mにして、防潮堤の海側には、街のシンボル“高田松原”を再生させ、陸側は、メモリアル公園にするとしている。さらに、かつての市街地の一部は、産業用地。そして高台開発とかさ上げによって、住宅地などを確保。最新の計画案では、海抜5.5m以上にかさ上げし、今回の津波が来ても、浸水を免れる高さで幹線道路を整備。そこから、さらに盛土した場所を住宅地にしていく計画だ。10月から住民への説明会が各地で開かれた。しかし、多くの住民たちは、かさ上げしたとしても、一度、浸水した場所に住むことには不安を抱いている。『浸水したところに、新しく家を建てたいと思う人が何人いるのか。初めから高台移転を前提として復興計画を作るべきではないのか』『盛土の上に家を建てることになるが、土は落ち着くのか』などの声が相次いだ。住民の半数以上が高台移転を求めているなか、市では、自由な選択ができるよう模索していくとしている。一方、移転先となる高台の“分譲価格”も、元の土地の市による“買い取り価格”も決まっていない。そのためローンなどを抱えている住民は、行き先を決めかねていた。復興計画案は、現在、開かれている市議会での議決を経て、正式に決定する。陸前高田市の戸羽太市長は「市民の皆様方からもさらに意見を聞きながら、基本的な計画に肉付けしていく」と話す。