今月も文芸作品、感動のラブストーリー、異色アクション等など、バリエーション豊かな５本がラインナップ。毎月、最低でも５本の映画を見ている稲垣さんだけあって、さらに見る目が肥えたのか、最近のコメントはさらに鋭さを増したようです。今月も、バッサリ！斬っていました。 【作品DATA】 2004年（アメリカ、イタリア、ルクセンブルグ、イギリス映画） 監督・脚本：マイケル・ラドフォード 出演：アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズほか ●テアトルタイムズスクェアほかにて、ロードショー 【作品DATA】 2004年（フランス、ドイツ、イギリス映画） 監督・脚本：ディディエ・ポワロー 出演：ヴァネッサ・パラディ、ジェイソン・フレミング、ブノワ・ポールヴールドほか ●池袋シネマサンシャインほかにて、ロードショー 【作品DATA】 2005年（日本映画） 監督：鳥井邦男 出演：舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオルほか ●丸の内TOEI１ほかにて、ロードショー 【作品DATA】 2004年（韓国映画） 監督・脚本：イ・ジェハン 出演：チョン・ウソン、ソン・イェジン、ペク・チョンハクほか ●丸の内ピカデリー１ほかにて、ロードショー 【作品DATA】 2005年（アメリカ映画） 監督：フランク・ミラーほか 出演：ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェンほか ●丸の内ルーブルほかにて、ロードショー ――今回のラインナップを、1位の「ヴェニスの商人」以外は、「テレビと同じように刺激が強い」と評されていました。 そうなんですよね。テレビは、見ている人をいかに飽きさせないか、いかにチャネルを変えさせないかってことを考えて刺激的に番組を作りますよね。それは、そういう業界だからいいんだけど、映画にはそれとは違うやり方で、その世界に誘える力があると思う。根本が違うのに、そこを混同しちゃってるなって思う作品が多いように感じます。「エイリアンVSヴァネッサ・パラディ」だって、原題は、「ATOMIC CIRCUS」っていうんですよ。内容も悪くないのに、邦題をつける映画会社の人たちが、わざわざB級に仕立てて話題性で呼び込もうとしている。悪いことじゃないんだけど、テレビ的だなって。 ――そういう意味で、「ヴェニスの商人」は、テレビなら退屈だけど、映画としては1位ということなんですよね。 そうね。もちろん、アニメもフルCGの作品も全否定はできないけど、僕は、映画らしい映画が好きなんですよ、やっぱり。まあ、「ヴェニスの商人」は……、1位でしたけど、それは今回のラインナップのなかでっていうことで思ってもらえるといいかな。 ――近頃のコメントを聞いていると、本職の映画評論家のような鋭さを感じます。 映画は、理屈で考えるのではなく、体感しなくちゃいけない部分もあると思うのね。それも、もちろんやっているつもりなんだけど、番組で感想を話すとなると、どうしても、理屈、理論になっちゃんですよね。抽象的な表現だと伝わらないからね。映画を語るって、難しいんですよ。 ――そんな今の稲垣さんにとって、映画とは？ 自分の人生と照らし合わせて考えたり、ガイドになっているなって感覚はあります。自分が忘れていた感情だったり、味わいとか味覚が映画を見ることによって蘇るってこともありますから。そういった意味では、なくてはならないものかな。本を読むよりも早いし、分かりやすいしね。 ――今日の収録でもありましたが、香取さんにセレクトに関して、思うところもあるようです。メッセージなどありましたら。 今までどおりでいいと思うんですけどね。もちろん、彼のセレクションあってのこのコーナーですから、まったく僕に合わせることはないし。慎吾も、バランスを考えて入れてくれてるとは思うんだよね、今月はちょっとハズレ気味だったけどさ(苦笑)。「ヴェニスの商人」とかは、僕がひっかかると思って入れていると思うんだけど。ただ、考えていても、相手にピタッとはまらないときもあるでしょ。それが、また面白いわけであってね。でも、その分5本とも見てほしいよね。彼の感想を聞くのが楽しみだったりするので。いつも言ってるけど、そこは、お願いしたいですね。

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