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インド編 撮影日記

壮大な渓谷を走り抜けるカングラ渓谷鉄道
北インドの絶景路線『カングラ渓谷鉄道』
「北インドには日本でほとんど知られていない絶景を走る鉄道がある」と“カングラ渓谷鉄道”の魅力を力説してくれたのは、今回のロケのインド人コーディネーターKさん。
日本在住のKさんは、何度も「インドの車窓」のロケを担当してくれている大ベテランだ。御年70歳にも関わらずタイトなスケジュールのロケに同行。卓越された交渉力で、運転席や駅の売店など、撮影が難しい場所の許可を取ってくれる頼もしい存在だ。私の急な無理難題にも、即座に応えてくれる。沿線の小学校を取材したいと言った時、小学校の先生に交渉してくれ、元気いっぱいに勉強に励む子供たちの撮影をすることができた。
さらに今回、インドを2400キロ旅する際に大きな問題があった。それは言葉だ。広い国土のインドでは、地域によって言葉が違う。紙幣には15の言語で、お札の額面が記されているほどだ。そのため行く先々で、ローカルガイドさんに同行してもらった。Kさんはインドの公用語であるヒンディー語と英語を駆使し的確に指示を出してくれた。
さて、Kさんイチオシのカングラ渓谷鉄道は山間の町を繋ぐローカル線だ。インドの「車窓」は今回で7回目になるが、この路線は今回が初めて。もちろん、どのガイドブックにも載っていないが、カングラ渓谷鉄道の車窓に広がる、ヒマラヤ山麓の山と川が織りなす絶景は素晴らしかった。1番の見所である壮大な渓谷は、毎日のように乗っている乗客たちも風景に釘づけになる。他にも、広い空、段々畑、積わら、牛…。後半戦は標高3000mの万年雪の山を見ることができる。
しかし、いざ、撮影となると絶景の前には必ず苦難が待っている。列車の走りを撮るときには、山道は車が入れないことも多く、そのため撮影ポイントを探るためにかなり歩く。重い機材を運びながら眺めた、カングラ渓谷鉄道の山と川が織りなす風景は、車窓の絶景と共に忘れられないものとなった。
ディレクター 山本和宏
万年雪の山々
沿線の小学生たち