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アルゼンチン ウルグアイ編 撮影日記

ミサンガを編むフリエタちゃん
ミサンガを編む少女
アルゼンチンの人々はとてもフレンドリーだ。皆撮影に興味津々で、なぜか私たちと写真を撮りたがる人までいた。行く先々で「これは何の撮影なの?」という質問攻めにあうのだが、スペイン語な上に、英語が分かる人が日本以上に少ないので、すべてコーディネーターが対応しなければならず、大変そうなほどだった。
しかし、おかげでブエノスアイレスからバイアブランカに向かう夜行列車では沢山の出会いに恵まれた。寝台車がなく、14時間もの間、座席で過ごさなければならなかったので、体は疲れたが、常に周りに他の乗客がいる環境だったからこそ、撮影できたものも沢山あったと思う。
中でも特に印象的だったのは、ミサンガを編む少女だ。
まだ眠っている乗客も多い、朝の6時前、私たちは大草原パンパに昇る朝日を撮影していた。
車内を歩いていると、朝日に照らされる中、一人、ミサンガを編んでいる少女を発見した。彼女の名前はフリエタちゃん。年齢は12歳。「始発駅から終点まで乗る」「編み始めたのは出発した昨晩」「お母さんと弟は横の座席でまだ寝ている」など、一通り話を聞き撮影をさせてもらった。(ちなみに、アルゼンチンでミサンガは「ポルセーラ」と呼ばれていて、日本のように何かを願掛けしたりする習慣はないらしい。)
太陽が昇りきった頃、ミサンガが完成しているかもしれないと思い、再びフリエタちゃんの元を訪れた。お母さんと弟も起きていて、3人は笑顔で私たちを迎えてくれた。
そして、完成したミサンガは、弟の腕にはめられていた。自分用に編んでいるものと思い込んでいたので、意外な展開だった。赤と白の糸を選んだのも、弟が「リーベル・プレート」というサッカーチームのファンで、そのチームカラーだからだという。
7歳の弟は、最高に嬉しそうな笑顔で、自慢げにミサンガを見せてくれた。フリエタちゃんは、そんな弟を見つめながら、「前から弟が欲しがっていたから」と教えてくれた。家族っていいなあ・・と素直にそう思えてしまう、そんな光景だった。
ディレクター 永田奈津子
車体に朝日が降り注ぐ
にぎやかな車内