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小児科の先生は成り手が少ないのに加え、最近どんどん減ってきています。
この10年間で、全国に4000あった小児科を持つ病院が3400に減少。つまり600の病院が小児科をやめてしまったんです。もちろん、小児科の先生がいっぱいいる町や病院もありますが、例えば杉並区。50万人も住民がいるのに、夜間に小児科の重症患者に対応できる病院は1件もないんです。そんな現状を抱える中、今週は「正しい小児科の選び方」と題し、小児科が抱える問題を紹介します。
 現在日本では36科目ありますが、その中で医学生たちに一番人気がない科目が「小児科」。1300人の医学生に意識調査をしたところ、72%が「小児科にはなりたくない」と答え、現役の小児科医にアンケートを取ると、7割の医師が「自分の子供には小児科をさせたくない」と解答しました。今日本では、小児科は全く人気がないんです。一体その理由とは?
 小児科の人気が低い理由として、次の3つが挙げられます。まずは将来性の不安。現在日本は深刻な少子化状態。ベビーブームの1973年には184万人もいた小児科の患者数が、1996年にはその半分以下に激減したんです。子供が減っているのを知りつつ、あえて小児科医にはなりたくない、というのが医学生の正直な気持ちなのでしょう。2つめの理由は、小児科が儲からないから。現在の日本の制度では、医師に支払われる報酬は出来高制。薬を多く出して何度も診察をした方が儲かるんです。子供は体が小さいから大人ほど多くの薬は出せない。また老人のように慢性病で通院するケースも少ないので、小児科はやればやるほど赤字になると言われています。実際、一人の患者を診察した平均医療費は、65歳以上が8000円以上なのに対して、14歳以下の子供は半分以下の3900円しか病院に支払われないのが現状なんです。3つめの理由は、小児科は人手と時間がかかるから。小さな子供は病院を怖がって泣くことが多いので、注射を打つ時などは、なだめる人・子供を抑える人・注射を打つ人と3人の看護師が必要になってしまいます。また、泣く子をなだめる分だけ時間がかかってしまうので、小児科の治療時間は成人患者を扱う場合に比べて3倍は必要といわれています。ちなみに、小児科の他に医学生たちに人気がないのは、産婦人科・麻酔科・レントゲンなどを扱う放射線科。逆に人気が高いのは、内科・眼科・皮膚科、そして今流行の整形外科だそうです。
 東京で、中学1年生のN君が体調不良を訴え、両親と一緒に近くにある内科・小児科の診療所に行きました。医者は「軽いカゼだ。心配ない」と診断。でも実は、心臓の筋肉が壊れて機能しなくなる「心筋炎」という病気で、N君は2日後に亡くなってしまいました。明らかにこの医師は、N君の症状を誤診してしまったのですが、実はこの医師にはある重大な問題があったんです。その問題とは?
 このケースで、N君は最初「胸が苦しくて、アゴが痛い」と訴えています。初診後も激しい嘔吐と全身の苦痛、胸・肩・背中の激痛に襲われ、3日目には嘔吐中に失神しました。それでも医師は「カゼ」と診断。結局、症状を訴えてから3日目に、N君は亡くなりました。そして解剖の結果、「心筋炎」であることが判明したのです。「心筋炎」はカゼと症状が似ており、見落とすケースも多いといいます。が、N君はこの時、胸痛やアゴの痛みなど普通のカゼとは違う症状を訴えていました。これは「心筋炎」独特の症状。にもかかわらず、医師はそのサインを聞き流し、安直に「カゼ」と診断した上に頑なに考えを曲げず、少年の命を見殺しにしてしまったのです。さらにこの医師、「内科・小児科」と診療所の看板には書いてあったものの、専門は内科で、小児科としての知識や技術をほとんど持ち合わせていなかったのです。なぜ、こんなことが…?
 実は日本の制度では、麻酔科と脳外科という専門性の高い2科目を除けば、たとえ専門以外の科目であっても、自由に名乗れます。そのため、医者がひとりしかいないのに、看板に「○○科・□□科」といっぱい書いてある病院はあまり信用できないんです。大抵の場合、最初に書いてある科目が専門で、二番目以降は“なんちゃって診療”しかできないケースが多いそう。例えば、マンションの近くに開業する医者が、マンションの子供がいっぱい診察にくるだろうという理由で、看板に専門でもない小児科を掲げたりしているわけです。しかし、そんな胡散臭い病院だけではありません。ちゃんと子供たちのことを考えている病院もたくさんあるのです。
 千葉県のある総合病院では、難病治療のために遠くからやって来ています。そこで、入院生活をする子供たちが長期間の一人暮らしで不安にならないために、あるものを作りました。それは一体何でしょう?
 小児ガンなどの重い病気を治療するため、遠隔地からやってきて長い入院生活を送る子供たちは、つい不安な気持ちになってしまうもの。もし家族がそばにいてサポートしてあげれば、子供たちも安心して治療に専念できるはずです。そこで、この病院では入院病棟のすぐ近くに、家族のためのコテージを作ったんです。費用は一泊2000円と格安。キッチンや食堂、子供たちが遊べるプレイルームも完備しています。治療をする上で何より大切なのは、子供たちがリラックスできる環境を作ること。こうした努力や工夫をしている病院、実はまだまだ他にもあります。横浜には年中無休、24時間救急に対応する、まるでコンビニのように便利な小児科病院が登場。岩手県水沢市では、開業医たちが自発的に当番制を作って、交代で夜間の小児救急を受け付けています。また、敷地内にヘリポートを持ち、遠隔地の救急患者をヘリで運ぶ機動力のある病院も最近増えてきました。もちろん、これだけが良い病院ではありません。大切なのはちょっとした気配りで、子供たちがリラックスできる環境を作ること! これは、子供たちからの「サイン」を見逃さないために必要なことなのです。そのため、いい小児科の先生は必ず、子供の目線で話します。保育園の保母さんがしゃがみ込んで園児と接する姿を目にしますよね。まさにあれと同じ。そうすることで子供たちと心を通い合わせるんです。また、白衣を着た人を見るだけで子供が怖がってしまうことがないように、白衣を着ないで診察する病院もあるんです。よく子供が泣いていると「お母さん静かにさせてよ」と怒る医師がいますが、これは最悪。泣く子をおとなしくさせるのも小児科医の腕なんです。
他にも、胸に当てると冷たい聴診器。これを事前に暖めておく先生もいます。
 良い小児科のポイントはいろいろありますが、まずは“手離れのいいドクター”であること。小児科が専門じゃなくても、本当に子供のことを考えてる先生というのは、少しでも自分にわからないことがあった場合には、専門家をちゃんと紹介したりするんですよ。専門の施設をバックボーンに抱えていて、連携している診療所は、たくさんあるので探してみてください。それから、ドクターの年齢がポイント。というのも、総合病院(大学病院だと専門性が高いので、それ以外が疎かになっている可能性があります)で子供の病気を一通り、最低でも4年間経験して、初めて一人前の小児科ドクターだと思うんです。開業医の先生だったら、前にいた病院を気軽に聞いてみるのもいいでしょうね。そして番組中も触れましたが、24時間相談に乗ってくれる医者を普段から探しておくこと。24時間体制の小児科が少ない今、なかなか大変な作業ですが、だいたい子供が熱を出すのって夜中なんですよね。だから「子供に深夜、何か起こったら…」ということを、日ごろから考えておくことが大切。それを親の義務だと考えておくべきです。あとは、親の第六感を信じて下さい。子供の様子がおかしいと思ったら、すぐ病院へ連れて行きましょう。
(写真家/医療ジャーナリスト 伊藤隼也氏・談)
1.当直医の遅刻が原因で入院患者が死亡
 10/6、三重・四日市市の病院で、医師が一人もいない空白の時間ができ、その間に入院中の患者が夕食をのどに詰まらせ死亡したことが明らかに。原因は、当直医の遅刻。この病院では、夜勤の時間帯に医師が不在になる状態が日常化していたという。
2.資格なしで医療行為を行った女性が逮捕
 10/9、医師の資格がないのに医療行為をしていた女性が、医師法違反の容疑で逮捕された。この自称医師、もともと准看護婦だったが、10年前から「東大医学部卒」と偽って医者になりすましていたらしい。周囲からは「名医」と評判だったという。
3.腎臓透析時間が減少!?
 福島県の最近の調べで、腎臓透析を行う医療機関が、患者さんへの透析時間をどんどん減らし始めていることが分かった。というのも、病院に支払われる医療報酬が今年の春に改定された影響で、4時間以上透析をすると病院が赤字になってしまうからだという。
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