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昨年、日本で公開されたハリウッド映画は実に150本。そしてことしも、「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」「バッドマン・ビギンズ」「宇宙戦争」など、200億円もの製作費をかけた超大作が次々と公開される予定です。しかし、驚くべきは莫大な製作費だけではなく、その製作過程においても数々の秘密が隠されているのです。1本の映画が完成するまでに平均1万人という人間が携わり、昨年1年間で製作された映画全ての製作費合計は北朝鮮の国家予算に匹敵する1兆円。そんなハリウッド映画の製作過程を徹底検証します!
 「ハリウッド」で初めて撮影が行われたのは1909年。「ザ・カウント・オブ・モンテクリスト」という映画の撮影チームが、当初、撮影予定地だったシカゴの悪天候から逃れるため、当時のハリウッド市で撮影したのが最初であると言われています。その2年後の1911年、ハリウッドは交通の便がよく、温暖で気候条件が良い点などが評価され、続々とスタジオ誕生、一躍「映画の都」となったのです。
 現在ハリウッドにおいて、1年間で製作される映画は約200本。まずこれらの映画を作るうえで最初に行われるのが「ストーリーの作成」です。脚本の初稿、いわゆる「第1稿」が出来上がる流れは大きく分けて3つ。まず、通常一般的な方法が、「脚本家が原案から考えて執筆、プロデューサーや監督に売り込む方法」。続いて、「監督自らが題材を探し、脚本を書き上げる方法」。そして「プロデューサーや俳優が題材を探し、自らが作成するか脚本家を雇って執筆を依頼する方法」です。
しかし、ハリウッドにおいてはひとつの映画に対し3人以上の脚本家が携わり、数回にわたり書き直しが行われるのは当たり前の作業。映画「フリントストーン」にいたっては32人もの脚本家が雇われていたといいます。製作者側は予算と時間の範囲内で、納得の行く脚本が出来上がるまで繰り返しリライトがなされるのです。
 ハリウッドでの脚本家の仕事は、このシナリオの「第1稿」を書くところまで。実はこの段階でそのシナリオは買い取られ、報酬を得る代わりに、脚本に手が加えられることを認める契約を結ばなければならないのです。その後、監督やプロデューサー、出演俳優の意見によってセリフが変わるのは当たり前で、登場人物の変更だけでなく、エンディングが全く違うものになってしまうこともあるのです。あの「ロード・オブ・ザ・リング」でも、主演のイライジャ・ウッドのアイディアで数多くのシーンが追加されたといわれています。
 更にハリウッドでは、前作が予想外に大ヒットした新人作家に対し、まだ書いてもいない作品の映画化権の買取を行うケースも。「氷の微笑」で一躍有名となったジョー・エスターハスも、内容も決まっていない彼の次の脚本に対し、メジャースタジオから300万ドルという巨額のギャランティーを手にしているのです。
 そんなハリウッドで現在、最高の脚本料を獲得するのが、あのM・ナイト・シャラマン監督。出世作「シックス・センス」では、監督自らが脚本を書き、監督料とは別に200万ドル(約2億4千万円)という高額の脚本料が支払われました。その後、作品のヒットと共に、シャラマン監督の脚本料は値上がり続け、「サイン」では脚本料がなんと1000万ドル(約12億円)にまで高騰。史上最高の脚本料と話題になりました。しかし、これほどの高額は極めて異例のケース。平均的な脚本家のギャラは、1本につき数百万から数千万程度といわれています。
 このように様々な過程を経て完成した脚本を映画製作へと進める役割を担うのが「プロデューサー」です。脚本にあったスタッフ、キャストを選ぶ作業から、最も重要とされる、予算作成と資金調達までをこなし、その権限は絶対。現場の最終責任者です。そのプロデューサーにも様々な種類があり、エグゼクティブ・プロデューサー(製作総指揮)は、主に資金調達と配給を担当。資金集めのメ信用モという意味で、スティーブン・スピルバーグなど大物が名を連ねます。コー・プロデューサーは文字通り「共同製作者」のことで、こちらも主に資金調達がメイン。
 このように、複数のプロデューサーが映画に関わる場合は、プロデューサー同士の関係を調整するアソシエイツ・プロデューサー(製作補)が必要になります。また、撮影過程で、製作進行や予算管理を行うのが、ライン・プロデューサーです。
そんなプロデューサーの大仕事「資金調達」。現在平均6000万ドル(55億円)かかるといわれ、大作ともなれば1億ドルを越す作品も多いのですが、1億ドルを軽くオーバーしたのがあの「タイタニック」。
 ことし2月に日本公開予定のオリヴァー・ストーン監督「アレキサンダー」も200億円の製作費をかけ、円形劇場など歴史的建造物を再現しました。そして、ハリウッド史上最高の製作費を費やしたのがサム・ライミ監督の「スパイダーマン2」。実に220億円もの制作費が投入されましたが、実はこの製作費のほとんどが最新のCG技術につぎ込まれたそう。ほか、「ロード・オブ・ザ・リング」は、3部作あわせて340億円、ブラット・ピット主演「トロイ」は180億円、トム・クルーズ主演「宇宙戦争」が210億円と、近年のハリウッド映画には軒並み莫大な製作費が投入されているのです。
 では、こうした資金を、ハリウッドではどのように集めるのでしょうか。いわゆる、一定の条件を満たせば保険会社が保証することで銀行から融資を受けることが出来ます。そのため出資者がリスクを負わなくてすむのです。また、日本では行われていない「配給権担保融資」という制度もあります。これは、完成後の配給権を配給会社に販売し、その配給権を担保に銀行からお金を借りるというシステム。基本的にハリウッドで製作される映画は、「メジャー」と呼ばれる大手配給会社によって公開されるので、銀行としてもリスクは低く、貸し倒れは無いと判断されることが多いのです。
 こうして集まった製作費の中で、その大部分を占めるのが、俳優陣のギャラ。超Aクラスといわれる俳優の出演1作品のギャラは、2000万ドル(約22億円)。このランクにいるのが、男性ではメル・ギブソン、トム・ハンクス、トム・クルーズ、ブルース・ウィリス、ハリソン・フォード、ウィル・スミス、ジョニーデップ、ブラットピット、レオナルド・ディカプリオら。女性ではジュリア・ロバーツ、キャメロン・ディアス、レニー・ゼルヴィガーなどです。中でも「売り込み上手」と評判なのがジュリア・ロバーツ。自分が演じる役柄に明確なプランを持っており、自らギャラの交渉も行う彼女は、プロダクションを経営しており、更にプロデューサーとしても一流といわれています。
 契約の国アメリカではギャランティー以外にも興行収入の何%かをインセンティブで受け取る契約や、DVDなどのソフト収益に関する契約、撮影に関してスター俳優が演じやすいように様々な契約を結びます。
 ことし公開予定の「宇宙戦争」に主演するトム・クルーズは、固定のギャラは一切受け取らない代わりに、興行収入の10%を受け取る契約を結びました。これによって最終的に2億ドル、およそ200億円以上の大金を手にするのは確実と見られています。「マトリックス」3部作に主演したキアヌ・リーブスは、後半の2作品で3000万ドルのギャラを手にしていますが、それと同時に興行収入の15%を受け取る契約も結び、その金額だけで約2億ドルを超え、ゲームやDVDの収益も入れると最終的になんと3億3300万ドル、310億円を手にしたのです。キリストの最後の日を描いた「パッション」で、製作・脚本・監督をひとりでこなしたメル・ギブソンは、ポケットマネー3000万ドル(30億円)を出しましたが、その興行収入は、4億ドル(440億円)に達し、去年最も成功したフィルムメーカーと言われました。ハリウッド映画では、出演者の顔ぶれである程度のヒットが約束されるため、俳優との契約は、製作サイドよりも有利な契約となる事が多いのです。
 このほか、「演出への参加」、「共演者、監督、スタッフへの人事権」などから、「専用飛行機の手配」、「ペット連れの許可」といったものまで、主演級の俳優には多くの「オプション契約」が結ばれる事になります。
 更にハリウッド映画では、俳優や制作者たちを保障するシステムが存在します。「ギルド」とよばれる労働組合(ユニオン)にほとんどの人が所属し、賃金契約や労働条件などがきちんと保証されているのです。監督の最低週給は6400ドル、カメラマンの最低時給は31ドル、俳優の最低日給は、たとえちょい役であっても540ドル。そのほか福利厚生費などの請求も行われ、仮に、スタジオ側が支払いを拒否しようものならユニオンは組合員の派遣を拒否し、撮影は一発でストップしてしまうのです。このように確固たるシステムを確立し、数多くのスタッフ、莫大な資金を投入して作られるハリウッド大作映画ですが、失敗しない秘訣はナンなのでしょうか。その裏にはまだまだ数々の秘密が潜んでいるのです。次回シリーズ第2弾では、プロダクション…いわゆる撮影を特集します。お楽しみに!
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