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「いま、日本で最も泣ける俳優」とも評されているのがSMAP草なぎ剛です。そんな彼の出演作を筆頭に、いま日本でヒットする作品のキーワードにもなっているのが「泣ける」ということ。なぜいま、泣ける作品が受けるのでしょうか。日本、韓国のエンターテインメント界を比較しながらその理由を探ってみました。
フジテレビ系にて放送されたドラマ「海峡を渡るバイオリン」は、ひとりの韓国人が、太平洋戦争、朝鮮戦争といった幾多の戦争による民族の分断という大きな歴史に翻弄されながら、母との生き別れ、極貧との戦い、懸命に自らの夢に突き進む波乱万丈な人生を感動的に描いたドラマ。その主人公であるバイオリン製作者である在日韓国人・陳昌弦を演じたのが草なぎ剛。役者としての彼を各メディアは「日本でいま最も泣ける俳優」と評しています。草なぎ剛の俳優としての歩みは1997年、フジテレビ系の「いいひと」から始まりました。その後も少年犯罪に真正面から取り組む文部科学省の若き研究者を演じた「チーム」、国民的スター女優と恋に落ちるサラリーマンを演じた「スタァの恋」に出演した草なぎ。そして彼の代表作とも言えるのが、余命1年を宣告された高校教師が、残りの人生を悔いのないように生きていく姿を描いた「僕の生きる道」。このドラマは、最終回に24.6%という高視聴率を記録しました。続く「僕と彼女と彼女の生きる道」では、家族の絆の大切さを描き、こちらも最高視聴率27.1%と大ヒット。さらに、草なぎの活躍はテレビだけにとどまらず、2003年1月に公開された初主演作品「黄泉がえり」で230万人の観客を動員数。さらに2004年、もうひとつの彼の顔である、チョナン・カンとして全編韓国語による映画「ホテルビーナス」で主演をつとめモスクワ国際映画祭では最優秀作品賞を受賞。海を越え、言葉を超えその演技が評価されました。
今年度の日本映画のヒット作といえば、300万部を突破した片山恭一のベストセラー小説を映画化し、400万人を動員した「世界の中心で、愛をさけぶ」、横山秀夫のベストセラー小説の完全映画化した寺尾聡主演「半落ち」、さだまさし原作の感動巨編「解夏」、実在した盲導犬の生涯を描いた「クイール」、「ホテルビーナス」、トム・クルーズ、渡辺謙の競演で、世界的なヒットを記録した「ラストサムライ」、そして現在公開中の話題作「いま会いにゆきます」など、いずれも泣ける映画ばかりです。
こうした流れはテレビドラマにも波及しています。男性層からも多くの支持を集めたフジテレビ系の「白い巨塔」、第二次大戦下の沖縄を部隊に、ただひたすら家族を愛する男が戦争という大きな波に飲み込まれそうになりながらも明るく生き抜き、希望を捨てず家族を守ろうとする姿を描いた明石家さんま主演の「さとうきび畑の唄」(TBS系)、生後1ヶ月でダウン症と診断され、先天的な心臓疾患から余命1年と告げられた少年と、その家族の愛と戦いを描いた松田聖子主演の「たったひとつのたからもの」(日本テレビ系)、昭和の大スター石原裕次郎の生涯を、兄・石原慎太郎が克明に綴った同名原作をドラマ化した「弟」(テレビ朝日系)など、「泣ける」という要素が、ヒットの鍵となっています。 こうした傾向に対して、映画界やテレビ界の関係者たちは「泣ける、というより、いまないラブストーリーを求める」「ハリウッド映画に対して食傷気味。感覚を刺激する映画より、感情を刺激する映画にシフトしている」「結果として泣けるドラマに興味が集中している」という分析をしているようです。
では、アジアではどのような作品が流行っているのでしょうか。日本で社会現象とまでなったドラマ「冬のソナタ」を生んだ韓国のテレビドラマでは、ことしMBCで放送された「宮廷女官 チャングムの誓い」が大ヒット。封建的な朝鮮時代、いじめに耐えながらも、医者として活躍するひとりの女性を描いたこのドラマは、なんと最高視聴率57.8%を記録しました。映画ではことし、北朝鮮への秘密工作を目的に、誰にも知られることなく組織された特殊部隊が、政治的理由のためだけに存在を抹消されるまでを描いた「シルミド」が空前の大ヒット。更にこの記録を塗り替えたのが、朝鮮戦争を舞台に、人間のあらゆる感情を凝縮し、運命により引き裂かれることになったある兄弟の物語「ブラザーフッド」です。この作品は、観客動員数1000万人以上と、実に国民の3人にひとりが涙したことになります。近年、韓国でヒットしたドラマ、そして映画に共通する要素は「歴史」。そしてその歴史に翻弄された人々の狂おしいほどの「せつなさ」。これは、日本に比べ、より強烈な泣かせが受けているとも言えるでしょう。韓国では、今後も「実話」を題材にした映画がブームになるのでは、とも言われています。また、日本の映画関係者も、洋画から邦画にシフトしている、という実感を抱いているようです。果たして、ニッポン映画はどこに向かおうとしているのでしょうか。そして、次はどんな泣ける作品が誕生するのでしょうか。
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