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――北野監督特集のVTRを食い入るように見てらっしゃる時の勝村さんの表情、凄く印象的でした。
僕がたけしさんのことを語るなんて、非常にせん越ですが、嬉しくて嬉しくて…。実を言うと僕、高校の時くらいからずっと、たけしさんのことが大好きなんです。『オールナイトニッポン』なんて、しょっちゅう聞いてましたしね。

――じゃ、『天才たけしの元気が出るテレビ』でご一緒することになった時は、嬉しかったのでは?
嬉しいという気持ちではなかったですね。もちろん会えるのは嬉しいんですけど、僕にとって“雲の上の人”だから、一緒に番組をやらせて頂くなんて…。そんなこと出来ない、と思ってたんですよ。でも初めて会った時に、たけしさんに「悪いようにはしないから」って言われたんです。その一言だけだったんですけど、あれは一生忘れられないですね。

――映画『ソナチネ』の時は、どのような感じだったんですか?
あれは随分前から、「こんな映画を撮るから」って教えて下さってたんです。ちょうど『元気が出るテレビ』で毎週会ってましたから。で、「いま役がふたつあるんだけど、勝村をどっちにしようか迷ってんだよなぁ」って、おっしゃってて…。たぶん、僕が実際にやった役と寺島(進)がやった役のことだったんですけど。その時はイメージが湧かなかったんですけど、実際に参加させて頂いたら楽しくて…。台本は一応あるんですけど、今日のVTRの中でたけしさんもおっしゃってたように、どんどん変わるんですね。僕と寺島がプラスチックの人形で遊んでるシーンも、本当はなかったんです。現場にあの人形があって、合間にあのシーンのように2人で遊んでたら、たけしさんが入って来て「こんなこと言ってみようか」と言い始めてね。それで急きょ撮って、あのシーンが出来上がったんです。非常に柔軟な方なんですね。ラスト・シーンなんかも何パターンもあるんです。だから、エンドロールに名前が載ってて、映画の中に出てない方って結構いるんですよ。

――今回の放送中に「本当にいい現場だった」とおっしゃてましたが…。
本当にいい現場ですね。普通、ちょっと上手くいかないと、現場がピリピリするじゃないですか。そういう雰囲気って、やる側もイヤな気持ちになっちゃったりする。でも、たけしさんはそんな雰囲気になりそうになると、必ず真ん中に来てくだらないことを言ったりするんですよ。で、「なんでオレがお前らに気を使わなきゃいけないんだ、コノヤロー」とか言うから、場が凄く盛り上がってね(笑)。たけしさんのおかげで、現場が停滞することなんて一度もなかったですね。『ソナチネ』でいうと、僕とたけしさんが別れるシーン。僕が「ガソリン満タンにして来て下さいね」というようなセリフを言ってるんですけど、あれも最初は違うセリフだったんです。でも、たけしさんは「何かいいセリフねぇかなぁ」って言ってて…。その後15分くらい考えて、僕のところへ来て「このセリフでいい?」って聞いたんです。セリフ自体も「生きて帰ってきてほしい」というメッセージが含まれてて、凄くカッコいいじゃないですか。それに加えて、「〜でいい?」という尋ね方。周囲に決して無理をさせずに、凄く大切にしてくれるんですよ。いい現場でしょ。たけしさんって、涙が出るほどカッコいいんです。

――真の男気みたいなものを感じさせてくれる方ですね。
そう。しかも、少年の心も忘れていない。『ソナチネ』でも沖縄で、みんな揃って全裸で海に潜って遊んでたんですよ。そしたら、たけしさんが怒るんです。「お前ら、いい歳して全裸で!!」って。たけしさんは一応パンツを履いたまま潜ってたんですね。でも、怒って立ち上がった時には全裸になってて(笑)。どうやら、先に全裸になられたのが悔しかったみたいでね(笑)。

――また、北野作品に出てみたいですか?
機会があれば。でもそのためには、自分を磨かないと。…磨くと逆にダメって可能性もあるんですけどね(笑)。たけしさんは素材を大切にする人だから。ただ出演する、しないは別として、たけしさんの作品は楽しみにしてます。それがどんな作品であれ、僕はたけしさんのことが大好きですから。
(勝村政信さん・談)
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