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2024年2月3日如月の壱

栃木・下野市
~火と向き合う 炭焼きの暮らし~

脱サラして炭焼き職人となり故郷・栃木で白炭づくりを始めた田中信幸さん(47歳)と妻の純子さん(41歳)が主人公です。
栃木県壬生町に生まれた信幸さんは20代になるとワーキングホリデーでニュージーランドに渡り、牧場などで働きました。帰国後は酪農機械の会社に勤め、そこで出会った純子さんと結婚。自然に触れる仕事への思いが強かった信幸さんに「2人でやってみよう!」と、純子さんが提案したのが炭焼きでした。そして、紀州備長炭発祥の地と言われる和歌山県田辺市に家族で移住。夫婦で一年間、炭焼きを学び独立しました。そんな中、時おり故郷の栃木県に帰ると、荒れた雑木林のナラの木が気になったという信幸さん。ナラの木で白炭を作ろうと考え、2019年、家族で栃木県にUターンしました。下野市の中古住宅を借り、敷地内に本格的な炭焼き窯を家族の協力のもと製作。そして去年2月、ナラの白炭づくりをスタートさせました。
暖をとったり、煮炊きに使ったり、人々の暮らしと共にある炭。それは職人の過酷な作業から生まれてきました。そんな炭を魂込めてつくる信幸さんの姿と、それを支える妻の純子さんや家族の様子、地元の方々との交流を紹介します。

木の伐採から始まり、ここまで3週間。窯に少しずつ穴をあけ、温度を上げていく「ねらし」という工程を終えると、いよいよ窯出しのときを迎えます。炭が輝いたら、温度が完全に上がったサイン。炭をかき出し、灰をかけて火をしずめます。炭同士がぶつかる音は、まさに「お宝の音」と顔をほころばせる信幸さん。1000度の高温にさらされるこの作業は5時間続き、気づけば夜が明けていました。

この日は自宅裏の林へ、ご夫婦で自然薯掘りに向かいます。この林で1メートル超えの自然薯を掘った経験もあるお2人、あらかじめ目印を付けていた場所を慣れた手つきで掘っていきます。やがて土の中から顔を表したのは…、期待外れの小さな、小さな自然薯!残念な結果でしたが、「楽しかったね」と笑顔を見せるお2人でした。

窯出しから一週間が経ちました。今日は家族でバーベキュー。みんな楽しみにしていました。信幸さんの白炭で肉や野菜を美味しく焼き上げます。「炭の味がする」「美味しい」と子どもたちも大絶賛。家族の支えがあってこそできる、炭焼きの仕事。互いにエールを送りあう信幸さんと純子さんです。

この日、炭小屋では何やら科学の実験がスタート。炭を有効活用することをテーマにし、様々な研究をしている『栃木炭活用研究会』の集まりです。現在は、炭の特徴を生かし、半導体の研磨を目指しています。下野市から発信して地域活性化に繋げようと、皆さん大きな夢を描いています。

楽園通信

ろばた割烹 とう兵衛

信幸さんの炭を使った料理を堪能することができる割烹料理店。
店主の長谷川さんがじっくり焼き上げた炉端焼きが絶品です。

営業時間 午後5時~11時
定休日  日曜
電話番号 028-632-1126