全日本大学駅伝 11月5日 あさ8時00分放送
大会ハイライト
※途中一部音声が途切れる箇所があります。あらかじめ御了承下さい。
【第1区】

快晴の熱田神宮。深い緑がバックに迫る西門鳥居前をスタート。気温は12度、湿度72%。
全選手とも慎重な立ち上がりで飛び出す選手はいない。
1kmは約3分の速くも遅くもないペース。
2kmすぎ、第一工大・中野が前に出る展開。広経大・ガンガが続く。集団を引っ張っていく。
5km、約15分で通過。依然、数校の遅れを除いて団子状態が続く。有力校はすべて集団の中にいる。
半分の7km手前、集団は幅広で相変わらず飛び出すものは出てこない。
1区の約半分が過ぎた約8km、ややペースが上がり縦長の展開に変わる。ぽろりぽろりと少しずつ、脱落校が見え始めた。念願の初出場を果たした明大が、すでに大きく遅れた。
10.5km付近、優勝候補日体大・鷲見が苦しそうな表情で、第1集団から遅れ始めた。出雲で1区15位の 汚名返上を目指す男が、苦しんでいる。
13km、城西大1年・高橋優太と立命大・森田が2人で飛び出した。2人を追うのが広経大・ガンガ。高橋をぐんぐん引き離しかけた森田だが、高橋がさらに逆転。1 区は1年生城西大・高橋がなんとトップ通過。日体大は15位と出遅れ。

【第2区】

花の2区に入り、日大・ダニエルがいきなりトップを奪取する。第一工大・ムタイがぴたりとつけ、追う展開となる。15位と出遅れた日体大も、エース北村が必死の走りで前を追いかける。
ダニエルは5km13分47秒の超ハイペースだ。長島温泉付近、ムタイとの差は5秒ほど。他はやや遅れて、集団を作る。
6km過ぎ、北村は4人を抜き11位。
揖斐長良大橋、トップ・ダニエル、数十メートル遅れてムタイ、さらに数十メートル遅れて大東大、順大、亜大、駒大、東洋大の集団。
ダニエルは、中間点を18分32秒。苦しい表情ながら、2位以下との差をさらに広げていく。
8km過ぎ、北村が神大、城西大を抜き9位に!!
残り2km、1位ダニエルと2位ムタイとの差は30秒。3位集団は、大東大がやや遅れ始めた。亜大・岡田が3位集団を引っ張る。
12km、8位中大・森の背後に日体大・北村が迫る。
ダニエルは13人抜きでトップ通過。区間新記録に迫る好走だった。
2位以降は、第一工大、東洋大、順大、駒大、亜大とほとんど差がなく通過した。日体大北村は、健闘したが5人抜きどまりの9位。

【第3区】

3区に入り、伊勢路のごぼう抜き男、中大・上野がトップと1分差の8位でたすきを受け、快走を始めた。
トップは日大・秀島が差を保つが、2位第一工大は3位集団に追いつかれ2位集団(東洋大、駒大、順大、亜大、第一工大)が形成される。トップと2位との差は3km付近で、約30秒。その後ろ、数十メートルに上野がひたひた忍び寄る。
6.5km、上野が第一工大を抜き、6位に。そのやや後ろ、城西大キャプテン、田上が大東大を抜き、再浮上し始める。
7.7km、第2集団から駒大&亜大が抜け出す。8km、上野は順大などを抜き、一気に4位に上昇した。
終盤、ぐんぐん追い上げる駒大、亜大、中大。
中継点、日大・秀島はなんとか1位でたすきをつなげるが、駒大・池田はその差9秒まで追い詰める。その後5秒遅れて亜大・菊池、そして3秒遅れて中大・上野。
上野はトップまでを、わずか16秒まで縮めることに成功した。日体大は7位と浮上しきれない。

【第4区】

4区序盤、出雲で1区区間賞を取った駒大・3年生キャプテン安西がじりじりと、1位日大・キャプテン土橋との差を詰めていく。
3.5kmついに、安西が土橋の背中にぴたりとつけた。そして1区12位、2位5位、3区2位と上げてきた駒大がついに1位に。
さらに5km、トップ2人に東洋大と中大が追いつき、ついに4チームによるトップ集団となる。予想通りの混戦だ。東洋大・川畑が先頭に立つ形で、こう着状態となっていった。続くのは50m程度離れた順大。
7km過ぎ、箱根王者・亜大が第一工大・アブデラアジスに抜かれ、シード権外の7位に陥落した。
気温を20度以上にあがり、選手の体力を奪っていく。
そして7.6km、駒大・安西が飛び出した。日大、東洋大、中大は自重かついていけないのか、2位集団を形作った。
10km、安西と2位集団の差は約10秒。彼のピッチはさらに増し、東洋大・川畑が単独2位となり追撃を始めるが、さらにその差は広がっていく。
終盤、アブデラアジスが順大を捕らえ、5位に浮上する。
第四中継点、ガッツポーズの駒大・安西が、1年生トリオ高林に襷を渡す。2位は37秒遅れた日大。そのすぐ後に東洋大、中大が続く。
健闘の第一工大はトップと50秒遅れの5位。続いて順大。その後の亜大は、シード権が遠ざかる、6位との差約50秒の7位。

【第5区】

駒大1年生トリオ、高林が苦しそうな顔をしながらも、5km通過でまだリードを保ったまま。
5.8kmの中間点でトップは駒大、30秒少々遅れて日大、東洋大、中大と続く。そして1分少々で、第一工大、順大。第4中継点からはほとんど変わらない差で、前半は展開された。
7km付近、日大・松藤が東洋大、中大を一気に突き放し始め、単独2位で駒大を追う。その差もじりじり縮まっている印象だ。
8kmすぎ、松藤と高林の差は15秒に縮まった。9kmすぎ、10秒を切る。1年生高林の表情が、激しく苦しそうだ。
10.5km、ついに日大・松藤が駒大を捕らえ、トップに。しかし高林も必死に食い下がり、差をなかなか開かない。
残り500m、新江戸橋で高林が再逆転。結局5秒の差をつけて、駒大がトップ通過。日大・松藤は第4中継所の37秒差をほぼゼロにする健闘。駒大と日大の一騎打ちの様相に。
3位はトップから50秒遅れた東洋大。4位には、地方の意地を見せる第一工大が順大と並ぶように1分16秒差。中大が遅れ1分34秒差となり、7位亜大がその背後7秒差。シード権争いも激しい争いに突入していく。
優勝候補だった日体大は、続く8位ながらもトップとの差は約3分と、トップ争いには絡めない厳しい戦いに。

【第6区】

序盤は、駒大・平野に日大・笹谷がぴたりとつける形で展開された。平野は昨年区間賞を獲得し、この6区には自信を持っている。
その後ろは、はるかかなたに離れている。
4km付近、第五中継点で遅れた中大が4位グループに追いついた。シード権争いは、まったく展開が読めない。
そして5kmすぎ、駒大・平野がスパートした。優勝候補筆頭、日大との差を一気に広げ、4年生抜きの若いチームが堂々のレースを見せる。日大・笹谷は苦しい表情を見せ、じりじりと後退する。毎分10秒くらいずつ、その差が大きくなる。
結局、そのまま駆け抜けた平野は2位との差を1分以上開いて、襷をつなぐ。
日大・笹谷は東洋大・宮田にもかわされ3位。駒大の独走状態となった。4位以降は中大、順大、亜大。亜大がシード権内に返り咲き、第一工大がついに陥落する展開に。8位日体大は、6位まで1分15秒。

【第7区】

相変わらず、トップを快走する駒大。1年生トリオの3人目、深津も安定した走りを見せる。
6区で3位まで落ちた日大も盛り返し、2位に這い上がる。
下位に甘んじていた山梨学大が、ここにきて順位を上げ始めた。第6中継所で12位だったが、11位神奈川大に迫る。アンカー、モグスの力を考えるとシード権を大逆転獲得の可能性がある。
アンカーへの襷リレーは、もちろん駒大が先頭。2位は日大。その差は2分以上に開いていた。3位グループは、東洋大と中大。トップとの差は約2分50秒。5位の順大はトップと3分23秒差、6位の亜大が4分13秒差。ここまでが、シード圏内だ。
続くのが、日体大、城西大、第一工大。日体大が6位と約1分差。城西大と第一工大が約2分差。シード権を奪いに、伝統校と新鋭校が意地を見せる。
11位山梨学大は6位まで、3分10秒。モグスは果たして、どこまで追い上げるのか?!

【第8区】

いよいよアンカー勝負。5km付近、差はついているものの長い直線道路なので、日大・福井の目にはトップ駒大・堺の姿が映る。2位は負けを意味する日大にとっては、福井の追い上げに期待をかけずにいられない。
5km付近、モグスが一気に8位まで浮上した。早大・渡辺康幸の伝説の区間記録を上回るペースだ。
6.5km、中大・山本亮が東洋大をかわし、3位に。東洋大・山本浩之も離されるものかと食い下がる。そしてその後ろには、山登りのスペシャリスト、順大エース今井の姿が忍び寄ってきた。
ゴールまで7.9kmの度会橋、トップの駒大・堺は比較的余裕の表情で快走するが、日大・福井も20秒、差を縮める健闘。最後まであきらめない。
11kmすぎ、モグスは7位を走る日体大キャプテン、保科を捕らえる。保科とて学生トップランナーのひとり。モグスはそんな保科との2分19秒あった差を、あっという間に逆転した。そして12kmすぎ、疲れの見える亜大・山下を一気に抜き去る。これで6位まで順位アップ、シード圏内に突入。区間記録は18秒も上回っている。先日亡くなった、ケニア人留学生の大先輩、オツオリの魂も一緒に走っているに違いない。
14.7km付近、5位を走る東洋大・山本浩之もモグスの餌食になった。
トップ駒大・堺は、最後の上りで厳しい表情を見せるが、足取りは相変わらず力強い。両サイドとも人で鈴なり状態になった伊勢神宮の表参道を駆け抜け、大歓声の中、堺は両手を上げてゴールテープを切った。
4区で1位にたった後、そのまま首位で伝統の藤色の襷をつなぎ2年ぶり6度目となる優勝で王者復活。
「以前は、最低3位と考えていたが、今は新しいチームなので3位を確実に狙いたい」と離していた駒大・大八木監督、エントリー中6人が初の伊勢路となったが、監督の期待を大きく上回る走りを見せた駒大の8人だった。
2位は、結局約30秒、差を縮めた日大がしっかりキープ。
3位は中大、4位は順大、そして5位に入ったのは11位でスタートした山梨学大・モグス。記録は、実に56分31秒! 渡辺康幸の大記録、56分59秒をなんと28秒も上回る好記録。
さらに最後のシード権、6位に入ったのは、大逆転の日体大。モグスには大きく負けた保科だったが、優勝候補だった意地は、シード権を最後の最後で獲得する形で示したのだった。
圏内にいながら、逆転でシードを逃したのが亜大と東洋大。悔しい悔しい最終区となった。

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