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  reported by
吉野真治


なでしこジャパンの戦いが終わりました。
結果は4位。
史上初のベスト4進出を果たし、メダルの期待がかかりましたが、
準決勝では世界ランク1位のアメリカに破れ、
3位決定戦では世界ランク2位のドイツの前に敗れました。
身体の大きい、欧米選手に対して、
組織力と技術で真っ向勝負を挑み、敗れはしましたが、
「メダル」の可能性を感じる戦いを見せてくれた、なでしこジャパン。
ひたむきに、懸命に、ボールを追いかける勇姿は、
見ていて熱いものが込み上げてくる戦いぶりでした。
しかし、準決勝、3位決定戦とも、
日本は中国人の観客から、ブーイングを浴びました。
アメリカ、ドイツのチャンスには大歓声、日本のチャンスには無音状態でした。

「どうして、こんなにひたむきに頑張っている彼女達に、
心無いブーイングを浴びせるのか」
「同じアジアの一員、しかも、中国を準々決勝で破った日本が決勝に進む、
あるいは銅メダルを取って欲しいと思うのが、
スポーツにおけるフェアな感覚ではないのか?」

試合中、心の中で次々と小さな怒りが沸いてきました。
今まで経験したことのない、「日本人」に対しての嫌悪感を肌で感じました。
観客席に目をやると、そこには、同じシャツを着て、
組織的にアメリカ、ドイツを応援している中国人の集団が複数存在し、
彼らの先導により、スタジアム全体が、反日の空気に包まれていました。
試合結果より、むしろ、その姿を見て、本当に憤りと悲しい気分になりました。
「中国対日本」の試合で日本にブーイングを浴びせるのは当然なことですが、
「日本対第3国」の試合で、必ず、日本の対戦相手を熱烈に応援するという
悲しい事実は北京五輪ならではの光景だと思います。
日本と中国の歴史的な関係をまざまざと見せ付けられ、
真の日中友好を築くには、相当の努力が必要であることを、
中国人のブーイングを身体で感じることで理解しました。

試合後、憤懣やる方なしの私にとって、救いだったのは
「なでしこジャパン」のすがすがしいほどの敗者としての振る舞いでした。
彼女達は、試合後、90分間ブーイングを浴びせ続けた、中国人の観客に対して、
一列になってグランドの四方に頭を下げました。
そして、中国人の観客からは、その「真の勇者としての振る舞い」に対して
立ち上がっての大きな拍手が送られました。
そのとき、憎しみに対して、憎しみを持っている自分を恥じました。
過去の歴史に盲目とならず、
現在進行形の歴史に対しても盲目であってはならない。
スポーツと歴史、スポーツと政治は
切っても切り離せないことを再認識した北京五輪でした。



瀋陽にて
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