

2009年5月11日
行方不明者を含め犠牲者が8万6633人に上った中国の四川大地震から1年が経つ。中国政府は、復興事業へ総額1兆元(約15兆円)を投入。被災地での復旧作業が続く一方で、復旧とは直接関係の薄い公共事業も目白押しとなっている。
震源地に最も近く、それだけ被害も甚大だったブンセン県・映秀。ここには、約1万人の住民が暮らしていたが、その8割が亡くなった。地震直後の映秀のメインストリートは、建物という建物すべてが倒壊し、街全体が瓦礫の山となった。現在、建物はすべて取り壊され、大きな空き地となり、何もない状態になっている。ここに新しい街が建設される。
映秀から27キロ離れた人口60万人の都江堰では、24時間体制で巨大スタジアムの建設や最新式の鉄道の敷設工事までが始まっていた。四川省では、工事の多さから鉄が不足し、鉄の値段が高騰している。倒壊した瓦礫の中から、鉄筋を集めて売る商売が繁盛していて、瓦礫の山には鉄筋を探す人が大勢いる。
復興特需は、一部の人を豊かにした。被災地では、『最高クラスの耐震設備』と謳った民間の高級分譲マンションが建設され、公共事業で潤う建設業者や国営企業の関係者などが購入しているという。ところが、この建設中の高級マンションの近くで、大通りから一歩奥に入ると、仮設住宅のテントが広がっている。表通りから見えないように塀で仕切られている。湿気が多く、狭いテントで家族や親戚など12人で肩を寄せ合って暮らしている韓順明さん(56)。不自由なテント暮らしを1年近く続けているのは、当局からアパートの修理許可が下りず、さらにその修理費を工面出来ないからだ。「被災者はお金を借りたくても貸してくれるところがない」と韓さんは嘆き、隣のテントの住民も「何もいらないから、政府には、家だけ早く修理してほしい」と話す。政府からの補助は、修理費用の4分の1にしかならない。韓さんが暮らしていたアパートは荒れ放題で、家具などは全て盗まれ、何も残っていない。建設資材不足の影響なのか、泥棒は、壁や床を壊し、電気の配線や配水管まで盗んでいったという。
四川大地震では、多くの学校が倒壊し、大勢の子供たちが犠牲になった。子供を亡くした親は、校舎の手抜き工事を問題にしている。『子供は天災で死んだのではなく、危険な校舎で死んだ』と政府の責任を追及してきた。