

2009年12月15日
絶え間なく流れる河川や農業用水を利用し、水車を使用して発電する、小さな規模の水力発電、いわゆる『小水力発電』。太陽光や風力と違い、天候に左右されずに、安定した電力を供給することが可能である。また、大規模なダムも必要なく、環境への負担は少なく済むという。
富山県富山市の小さな集落の農家で、今年の夏から、山の水を利用して家庭や農業で使う電気の自給自足をしようと、水車の建設が始まった。この実験は、独立行政法人・科学技術振興機構の助成を受けて、富山国際大学などが実施するものだ。「発電は、流れている“水の量”とそれを落とす“高さ”、落差で発電量は決まる。十分な高ささえとれば、発電できる」と話すのは、富山国際大学の上坂博亨教授。上流にある砂防堰堤から水を採り、パイプを通じて、水を、高出力の小型水車と直径4mある“上掛け水車”という2つの水車へ送る。落差12mのエネルギーを利用して、2台の水車を回し、あわせて1.5kWの発電を目指すという実験。1.5kWは、ちょうど農家一軒をまかなえる程度の電力だ。実験に協力している農家、橋本さん夫妻は、この地で野菜作りや養鶏などを通じ、食糧の自給自足を行ってきた。今度は、水車の発電によって、家庭の照明など、生活に必要な電力をまかなうことを目指している。さらに、橋本さんは、卵などの配達に1日50キロ走るため、水車の発電で充電できる電気自動車を導入した。妻の順子さんは、「水が豊かなところだから、その水でエネルギーも自給できないかと。小水力発電というものに期待している」と話す。着工から半年経った12月、いよいよ水車が完成のときを迎えようとしていた。
いま、各地で小水力発電が注目されている。山梨県の都留市役所では、市役所で使う15%の電力を小水力発電でまかなっている、また、京都・嵐山では、桂川に設置した発電機で渡月橋に明かりを灯している。小水力発電は、単なるクリーンなエネルギーというだけでなく、もう一つの重要な可能性を秘めている。栃木県那須塩原市。那須野ヶ原土地改良区連合では、農業用水を利用した発電機をこれまでに7基建設。合計出力970kWは、約500戸の家庭が使う電力に相当する。これを売電することで、土地改良区の水門や事務所など、農業施設の電気代にあてている。これにより、地元農家の負担は、年間、合計で千数百万円軽減されるという。